第67話海5

 ひと昔前に流行ったファッションを見に纏い、威圧的に絡んでくる彼らははっきり言って私の一番苦手で嫌いなタイプである。


 そして彼らはまるで野生動物が狩りをするかの如く、私の退路を塞いでいく。


 正直言ってかなり怖い。


「あれ? もしかして怖がってる? 大丈夫大丈夫。 怖くないからさ。 むしろ楽しい事を一緒にしようよ。 そうだ、隣町のカラオケでも行かない?」

「いえ、結構です」

「そんな冷たい事を言わないでよ 。君の分は奢りだからさ、好きなもん頼んでも良いよ」

「興味ないです。 行かないです。 警察呼びますよ?」


 そして当然のように彼らはしつこく付き纏い、私を解放してくれない。


 そもそも私の退路を塞いだ時点で私を返すつもりなど初めから彼らには無いのだろう。


「チッ、ごちゃごちゃウルセなぁっ!! テメーェ、女の癖にこの俺が下手に出てやってんのに何だ? その口の聞き方は?舐めてんの?あぁもう良いわ。 オラ行くぞっ!!」


 どうせこうして何人もの女性を襲って被害者を出してきたのだろう。


 そしてコイツらが未だにこうしてのさばっているところを見るに、やる事やって、写真や動画を撮り、脅しているのだろう事まで想像がつく。


 まさに人間のゴミでクズっだ。


 そんなクズが私の腕を掴もうとしたその瞬間、別の誰かの手が私の腕を掴もうとした手を私が掴まれる前に掴み、止めてくれる。


 私を守ってくれたてが誰の手であるかなど、顔を見なくても分かる。


「あ? テメーェ誰だよ?」

「コイツ、俺の彼女なんだけどお前こそ何をしようとしてんの? あと警察呼んどいたから、もう少ししたら来ると思うよ」

「…………チッ、おいズラかるぞお前ら」


 そして彼ら屑たちは一瞬だけ考えた後その場を離れていく。


 しねっ!! ち○こもげろっ!! なんならこの私が握り潰してあげましょうかっ!? それとも肛門に右腕ぶち込んで奥歯ガタガタ言わせてあげましょうかっ!?


「ごめん遅れた。怖かったよな?」

「金たm…………じゃなくて……うんっ、私、すっごく怖かったっ!! でも水樹がきっと助けてくれると思ったから。 それに実際に助けてくれたし、やっぱり水樹は私の王子様だなって」


おっと、危なかった。なんとかか弱い女性を表現できたと思う。


これで水樹も私にメロメロであろう。


「……どうした?頭打ったか?少し気持ち悪いぞ?」

「う、うるさいっわねっ!!可愛い彼女の可愛い仕草をしてるんだから素直にメロメロになってなさいよっ!!」

「うん、それでこそ美奈子だ」


そして一通りじゃれつくと、水樹は真剣な表情で「それでも、遅れてごめん」と言ってくれる。


どうやら私が痩せ我慢をしていた事もバレバレだったみたいである。

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