8話 しあわせであるように。


別れ道

永遠(とわ)の別れに

なるなんて


     ねじ巻き黒句




「黒猫くん、また明日ね」

「うん、また明日ね」

夕方の別れ道で、僕は茶トラと別れた。


僕は茶トラの後姿を、見つめていた。

何となく気になったからだ。


見ていると茶トラの側に車が近づいてきた。

そして、降りて来た人間の大人に、茶トラはひょいと抱きかかえられた。


人の良さそうな人間の大人だ。

そして茶トラは連れ去られた。


いや拾われたと言うべきか。

隣の市の車のナンバーだ。

この街より豪邸がたくさんある都会の街だ。


僕は理解した。

もう茶トラとは会えない事を。

都会で家猫になったら、もう会えない。


僕は突然の別れに呆然とした。


でも、抱えられた茶トラの顔が嬉しそうだったのは幸いだ。


さようなら、我が友よ。


読んでいただき、ありがとうございます。(*v.v)。

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