短歌3

土捲れ海干る地上の片隅にかつて心中ありし陋屋


太陽が廻る中心点こそは流刑にされしあしなえの児


少年のお腹飛び出て光さすついでに綿と仔犬漏れ出る


そして誰もいなくなった家なのに米炊くおまへ、おまへは誰?


山高帽降る夕まぐれに降るみな狂う太陽がみえないので


嘘ばかり書かれてあった日記帖盗むか迷う夏休み午後


球殻のなか試みる蕩尽をゆえに眼潰す肛門期の児


繰り返し忘れる海辺にいるわたし海星ヒトデ蒐めるわたしがおらず


中心点 N箇所数え測量士何処でもある此処にない場所で


死者ばかり海を泳ぎて春は来る赤い砂浜パラソルは飛ぶ


昇降機エレベーター歯車ギア軋む音/性交用機械人形セクソイドよがる声との差異を答えよ


将棋さす稚児の人形座す陰間 Kempelen似のブシャール結節


七日目の舟底に穴あけしノアその後の土地に系統樹枯る


三角の底に眠りて多角形 微分可能な非線形神父


無限円廻るゆえ直線となる不思議遊星歯車機構


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る