短歌2(ツー)

青空に羽留めるため死者探す

赤い子供は 玉針を持ち


琥珀色の御手が燃やすは 五章四十五節

マタイ福音書の


死んだ児の歳を数える七曜表カレンダー

水蛭子の脚を まないたに載せ


銀のはだ 剥がれ溶け去る長方形

夕立ちよ降れ 粘る滴の


Vectorをベクタと呼びし舌脆く

消えゆく音を探す少年


眼Qの裏面基地に着陸する

UFOよ去れ遠き星座へ


脳髄にムラサキカガミ埋めてこそ

親殺しのパラドクス消ゆ


無垢の子ら地獄におちて行列す

禽獣類に啄まれつつ


皆泳者 皆ぞ泳者と 海見上げ

息継ぐ間なき 水星紀来る


猫屠る 頭 首 腕 胴 尻 尾 姦しき声の 蘇らぬよう


故障した時計腕に巻き紳士降る

アルミ巻かれたシルクハットの


立昇る曙を見る偽書作者

トマス・アクィナスの眼球を嵌め


無頭女のかず求むるに記号Σ要らずやと云ふロプロプ何羽


藁小屋に幽閉されし赤子たち

bekosの一語 発する雄牛アレフ


暗い場所 赤い子消えるみな消える

残りて揺れし青い円錐


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