星になった僕③
時は一年前の生きている頃、高校時代。
「お前、まだ“星になりたい”とか馬鹿なことを言ってんの? いい加減、現実を見たら?」
公に言い回っているわけではないが、進路希望でも本気で“星になりたい”と書くため度々馬鹿にされた。 空に瞬く星。 夜を飾る、それらの一つ。 その中でも、一等に輝けたらいいと思っていた。
「小さい頃からの夢なんだ。 事実なんだから仕方ないだろ」
「星になりたいってさ。 “死んだ人になりたい”っていう風にも聞こえるから、何か気味が悪いんだよな」
「そんなんじゃねぇ! 悪いように言うなよ!」
当たり前だが、死にたいわけではない。 人生を生き、そして死んだら星になりたいということだ。
「俺たちは来年にはもう、高校を卒業するんだぜ? 真面目に書いておいた方がいいだろ、なりたい職業」
「・・・ねぇんだよな、なりたいもの。 星以外で」
興味を惹くものがあればとも思うが、星に魅了されてから今までそれを超えるものに出会わなかった。 そして、それはこれからも。 そう思っていたのだが――――
「じゃあ、スターにでもなったら?」
「スター?」
星を英語にすれば“スター”となる。 もちろん友達は、そういう意味で言っているわけではなかった。
「そうそう、アイドルとかの。 今からだと遅いかもしれないけど、頑張る価値はあるだろ」
「・・・スター、か」
夜空に浮かんではいないが、多くの人の中で輝き、そして人々を魅了する。 確かに星といえば星。 自分が憧れている星とはまた少し違うが、生きている間の将来の夢にしてはいいと思った。
幸運なことに、それからしばらくしてスカウトされ、養成所へと通うことになった。 そこで、歌手になりたいと同じ夢を持つ彼女と出会い、付き合い始めたのだ。
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