星になった僕②




地球にぶつかると大変なことになると思い、速度を落とそうとしたが無理だった。 そのまま地面に激突してしまう。


「いっだぁー!」


思い切り尻餅をついた。 そう、尻餅だ。 自分の姿を見ると、人の姿に戻っていた。 これでやりたいことができるかもしれない。 だが、本当の人間ではなかった。 

何故ならば、身体が光っていたからだ。


「・・・人間の姿に戻っているって、好都合じゃん。 いや、まぁ、実際は幽霊に見えるんだろうけど」


元々人間としては死んだのだから、仕方がない。 気を取り直し、目的としていた場所へと向かう。 家族よりも何よりも、気になっていたのは付き合っていた彼女のこと。 

今この姿でいられるのがどのくらいなのか分からない以上、優先順位を変えることはできない。 だが彼女の家のインターホンを鳴らしてみても、応答がなかった。 

もしかしたら会えるかもしれないという期待が、膨れては萎んでいく。


―――・・・やっぱり、会えないのか?


諦めて、彼女の家の近所を歩き回る。 周りの家は不気味な程に静かだった。 ただ奇妙なことに、一軒一軒のドアが開けっぱなしなのだ。


―――無防備な奴ら。


そのようなことを思っていると、どこかの家からテレビの音が聞こえてきた。


『緊急速報です。 ただいま、隕石が降下してきました。 ○○市の市民の方は、今すぐに避難してください』


―――・・・。


「って、俺のせいかよ!? そんな馬鹿なッ!」


星が降ってくれば世界は終わりだ。 逃げる意味すらない。


―――彼女がこんな時間に留守なのも、他の家に誰もいないのも俺が突然落ちてきたからか。

―――そりゃあそうだよな、悪いことをしてしまった・・・。

 

まさかこんなことになるとは思ってもみなかった。 それでも、彼女に会いたい気持ちは変わらない。 避難所はこの近くの学校だと、以前話していたのを憶えている。 

この事態に学校に逃げるのはおかしいと思うが、とりあえず行ってみることにした。 実際星は自分であり、何の被害もでないことが分かっているのだから。 場所は去年まで通っていた高等学校。 

無人の街を歩いていった。



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