第十六話 ここからは肉頼みの世界だ

 腹部のぜい肉を4㎏減となると、ガッツリ筋肉をつけるか、外科的な脂肪吸引の二択しかないかと思います。

 長い目で見ると筋トレがいいように思います。健康的な肉体を構築し維持する地力と習慣を身につけるにはいいチャンスだと思ったからです。


 そうなると、目指す肉体マッチョと鍛える筋肉マッソーをターゲッティングする必要があるな!

 早速手元にあるマッチョのセミヌード集(小説の資料)をパラパラめくり、理想のマッチョを探していきましょう。


■一般的な男性マッチョ

 ザマッシブという体型。

 僧帽そうぼう筋、マッチョを見た時に『何その首? 首、なの?』という感想を抱かせる筋肉山脈の峰が肩から続く。

 三角筋、ショルダータックルでぶち当てる箇所には筋肉のグローブが拳を形成している。

 上腕二頭と三頭、力こぶの二頭は当然ながら、発達した三頭もまた力こぶを成している。

 これら肩回りの筋肉はさながらフルプレートアーマーのようである。

 鎖骨と胸骨の交差点を窪地にするように広い傾斜地を形成する左右の胸の筋肉。

 そこから腰へ向けて絞られたわき腹、正面には六つに割れた腹筋。

 実に男性的である。僧帽筋、三角筋、上腕二頭と三頭、腹筋からなる逆三角形のマッスルトライアングルは圧巻。女性には形成が難しく、所謂ウケる筋肉、モテたい男が見せ筋として育てる筋肉群である。まあ、実に男性的で本能的にモテる筋肉だと思う。


■世楽の感想

 あまり魅力を感じない。『そうだね、マッチョだね』としか思わない。

 元々肩幅は広く胸板もそれなりに厚い(ぜい肉含む)ため、ここをモリモリにしたら服が着れなくなりそうで嫌だなとも思う。

 ただ、腹部の締まりと腹筋はイイ感じだし、僧帽筋トレーニングは肩こり解消にも効くとのこと。要件等ですね。


■女性マッチョ

 張りはあるが骨格に沿うようなしなやかさを兼ね備えているように思える。

 骨格の直線に丁寧に重ねた曲線美のようなものを感じる。特に肩甲骨に沿う筋肉がしなやかに見えた。

 男性の筋肉は肥大に従って1つ1つのパーツが強調され、機械の動力部のようなごつさと排気排熱を伴うロボット的な雰囲気を纏う。一方女性のそれは足首から膝、膝から腰といったひとまとまりとしてバランスよく発達しているように思える。誤解を恐れず形容するなら牛や馬の後ろ脚のような滑らかで内側に詰まった厚みを連想させます。

 肩から背中、腿にかけて引き締まった流線形の流れのしなやかさは女性ならでは肉体美ではないでしょうか。


■世楽の感想

 美しい。

 まあ、世楽男の子だからね。仕方ないね。

 普通にお腹周りをこういう感じにキュッと出来たらいいんだけど、多分男の身体はこうはならんのでしょう。諦めて腹筋を鍛えるしかないな。うん、出来ることと出来ないことの仕分け大事。


 それにしても……鍛えた女性のおっぱいは最高やなっ!


 とかくサイズだ谷間だと乳房ばかりに多くの男は騒ぐが、まずは大胸筋でしょうが。肩や脇から胸骨にかけて張りのある緩やかな盛り上がりの上に筋肉とは異質の柔らかな曲線がたわわしているのがいいんです。土台の大胸筋が大事なの! するとアンダーバスト周りもキュッとしてエクセレント!

 大胸筋が貧弱な巨乳、これは例えて言うならあれですよ、お洒落なハイヒールを履いているけど歩き方がなっていない、みたいなものですよ。生まれ持った美しさなのだから、綺麗に身につけていただきたいなと世楽は想います。



 さて、途中熱くなってしまいましたが素晴らしき肉体たちを眺めた世楽は最終的に『妥当かな』という感じの石膏像みたいなほどほどマッチョな男性を発見。その裸身をスマホに収めました。

 目指すマッチョは見つかった。

 次は鍛えるマッソーだ。いまだ見えぬ肉の道のすじを辿る旅が始まる。

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