7
「や、やっと…ゴール……」
ゴールに着くとそこには王様がいた。
眠たそうな顔で赤薔薇の木に寄りかかっていた。
「おかえりー。思ったより早かったね」
「な、何分……?」
王様はさぁ?と肩を竦めて言った。教えてくれないなんて、酷い王様。そんなに遅かったのかしら。
私の考えを読んだかのように王様は言う。
「何分かは分かんない。だって、ここには1日遅れの壊れた時計しかないもの」
1日なんて……遅れすぎだわ。どうしたら直るのかしら。……というか、王様は直す気があるのかしら。
王様の顔を少し見る。どうやら、その気は無さそうだ。
「悪いけれど、それは直せないわ。私に……時計の修理ができればよかったのだけれど」
申し訳なくなってそう伝えると王様はこちらを向いて言った。
「君……もしかしなくても馬鹿?」
真剣な顔で、そう言った。
「失礼ね!私の頭は、他の子供たちに比べては良い方だと思うのだけれど」
私は頬を膨らまして言った。
かけ算だってできるし、時計だって読める。そんな私を馬鹿だなんて!
「やっぱり、酷い王様」
「そりゃどうも」
王様は冗談めかしてお辞儀をした。
「迷路は抜けたわ。次はどこに行けばいいの?」
王様に尋ねる。王様は考えた後に言った。
「君、蝶々は好きかい?」
「……え」
辺りに沢山の蝶が舞う。
「べ、別に?特段に好きってわけでもないし、嫌いってわけでもないわ」
そうか、そうか、と愉快そうな王様の声は蝶の羽音に掻き消されていく。
「じゃあ、次行くところは決まったね」
「何の話!?」
精一杯の大声で王様に尋ねる。
「次の、場所は______」
詩家芋虫のきのこ畑
不思議の国の× × × 。 ゆづき。 @fuka_yudu
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