6
「帰り道って、どこよ…」
「さぁ?ボクも分からない」
自分の国なのに分からないなんて、酷い王様。
私だったら……
「目印になるように道を作るわ」
迷路みたいな道だけど、出口を決めれば出られるもの。
「……そう。じゃあ、そうするか」
王様は笑って手を叩いた。
お城の周りに道ができた。迷路みたいな道。でも、ちゃんと出口がある。
「凄い!素敵ね!」
「なんてったって、『ボクの国』だからね」
王様も迷路が好きなのかしら……
とても難しそうだけど、解くのはきっととても楽しいわ。
「じゃあ、早速解いてみてよ」
ボクはゴールにいるからさ、と王様は走っていく。
「ちょっと……!」
行っちゃった……
どうしよう……どこから行けばいいの?
泣きたい気分になった。
「ダメよ、しっかりしなきゃ」
私は目をきゅっと瞑り、前を向く。
迷路の絵本なら、沢山読んだじゃない。それと同じよ。
そう言い聞かせて緑の道をずんずん進む。
「……ここ、通った気がするわ………」
でも、緑ばかりでヒントがない。
「こんなの、解けるわけないじゃない……」
迷路は大好き。でも、分からないことは嫌い。
せめて、何か……緑の中でもよく見えるような、何かがあればいいのに……
「ヒントタイム!」
急に王様の声がした。
「王様……?」
「迷ってるみたいだから、ヒントをあげよう!赤い薔薇を見つけてご覧」
赤い薔薇……?そんなのあったかしら……?
「……あ」
気が付くとそこには、真っ赤な赤い薔薇があった。
「綺麗……」
「一つ、見つけたみたいだね。その調子で頑張って」
「あっ……」
王様の声は消えてしまった。でも、ヒントが貰えた……この迷路、抜け出せるかもしれない。
私は赤い薔薇を探し始めた。
「ここにも……あっちにもある!」
ヒントが分かればあとは簡単。その通りの道を進めばいいのだから。
でも、こんなに薔薇なんてあったかしら……?
私は赤い薔薇がお花の中で一番好き。綺麗で、いい匂いがするから。あったら、気づくはず。なのに、なんで……?
「……後で王様に訊いてみましょう」
今は迷路よ。
早く抜け出さないと……!お家に、帰る為にも!
「×××は、赤がお好き。白薔薇植えたら……」
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