こうして見ると、無惨に潰された東京虫さんたちがかわいそうにも思えてきます……。
リアル昆虫が嫌いな身からすると、人間そっくりの東京虫なんか可愛いもんじゃないか!とも思ったのですが、出先で見掛けるくらいならともかく、家の中に潜んでいられるのはやっぱり恐いですね……。生け捕りにして外に逃がしてやることくらいはしますが。
人に見つからず上手に隠れていれば潰されることもなかったでしょうに……。どうしても表に出たかったのかな……。かわいそうに……。
最後は人間よりも虫への情が湧きました。
この作品よりも私自身の頭の方がホラーなのかもしれません。
作者からの返信
コメントありがとうございます。
この作品、皆さんそれぞれ全然違った読み方をなさっていてびっくりしています。同じ小説の感想とは思えないほど。それが書き手として成功を意味するのか失敗を意味するのかもよく分かりません。ずいぶん変なものを書いちゃったなあという、なんだか不安な気分です。
早希が『虫』を怖がるのは彼女が『人間』(って、どこにも書かなかったかもしれないけど)だからだし、『虫』たちが『人間』を怖がるのは彼らが『虫』だからでしょうね。しかしどちらも虚構の物語の中の存在でしかありませんから、どちらに情が湧いたとしても何ら不思議なことではないと思います。ホラーなのは、「わたしたちはかれらではなく、かれらはわたしたちではない」という構造そのものなのでしょう。
昨晩読ませていただきました。
泣きました。すごく苦しい。恐ろしい。ひどい。辛い。悲しい。逃げ出したい。
でもわかります。仕方ないと思います。個人の人生においてはよかったと言っていいのかもしれません。どちらにせよ、わたしたちは生きていかないといけないから。でも悲しい。辛い。
でもそうなんですよね。人間で生まれてきてしまった以上は人間でいるしかない。共存の可能性を考えること自体がおこがましいのだと、頭ではわかっているんです。でも苦しい。悲しい。
そして、この作品はたしかに18歳未満には読ませられないなと思いました。性的な、あるいは残酷な描写や表現以前に、本質的な、明確に制限されていない部分において、子供には読ませられない。少なくとも、10代の頃の自分を思うと、理解できないし(今でも理解しようとしていないかもしれませんが、それ以上に)恐怖としてしか感じられないかもしれません。
すごい作品でした。読ませていただけて良かったです。ありがとうございました。
作者からの返信
コメントありがとうございます。
なんか、嫌なもの読ませてしまいましたね。高く評価してくださったのは書き手としては嬉しいのですけど、妙な言い方になりますが、ひょっとしたらayaさんはお読みにならないほうがいいんじゃないかなという思いはありました。それこそりっぱな大人のayaさんに「読むな」というのもおかしな話だし、同時に書き手としての立場からすれば、ぜひ読んでいただきたいとも思っていたのですけど。
人間は人間だから、というのは猫村が割と常々思っていることです。人が人の身であることは辛く悲しいです。それを解決することなく、気分を変えることでハッピーエンドに持って行きました。(この「ハッピー」をアイロニーと取るかどうかはおまかせしますが、本人たちが幸せであることに嘘偽りはないと思います。)
今回18禁にしたのは、純粋に、性描写に関する制限や社会通念があるからです。ayaさんが「18歳未満には読ませられない」とおっしゃる意味はよく分かりますが、解かろうが解るまいが、別に読んでいいんじゃないかなというのが猫村の個人的気分です。
とにかく、最後まで読んでいただき、コメントもお寄せいただき、まことにありがとうございました。勇気づけられます。
編集済
狸の心が歪んでいるせいでしょうか。本当に恐ろしい作品でした。
久々に、実に久々に、幻想小説を通して現実世界の人間の恐ろしさ、しかし恐ろしくならなければ生きていけない人間というものの業《ごう》――善悪ではない生存そのものとしての業《ごう》――を、まざまざと見せられた気がします。
この作品は明らかに怪奇幻想文学であり、その中でも、かなり高い位置を占める佳品です。
とくに『5』は、父性というものの業《ごう》の描出において近来稀なる怖さであり、『6』の結末も、アイラ・レヴィンの『ローズマリーの赤ちゃん』とはまったく別の意味で、母性という業《ごう》の凄みに慄然としました。
作者からの返信
ありがとうございます。さすがタヌキ様、猫村がなんとなく思っていたことを明瞭に言語化してくださいました。歪んでるなんてことは決してない……と申しますか、たぶん猫村も同じくらい歪んでいるのでおあいこでしょう。
おっしゃるように、普通の人間の普通の営みを、ある特定の角度からの見え方を強調して描いたつもりでした。最近はやりのドイツの哲学者がテレビで話しているのを見ていて、猫村が日々感じたり感じなかったりしている「あの感じ」を『虫』という仕掛けで表現できることにふと気づいたのです。今さらバカらしく聞こえるかもしれませんが、この作品の主題は『人間であること』です。
高い評価をいただきまして、どうもありがとうございます。慣れないパターンのものを書いて心細かったところなので、とてもとても励みになります。
母性や父性はこんなにも人を変えてしまうのだと…。
素晴らしい作品でした。
わたくし自身も親になり、虫が平気になりました。Gとも戦えるようになりましたし
夏に子供が採ったりしてくるカブトムシやクワガタも平気になりました。
自分の心の変化で世界の見え方は変わるものです。
的外れなコメントかもしれませんが、
なんだか懐かしい気持ちに最後なりました。
ありがとうございました。
作者からの返信
ありがとうございます。心の変化で世界の見え方は変わる。おっしゃるとおりだと思います。変わる前と変わったあとのどちらが正しいかは分かりませんし、どちらが正しいかと問うこと自体が無意味なのかもしれませんね。レビューも頂戴いたしましてありがとうございました。都会的な感覚があるとは自分では思ってもみなかったのでびっくりです。
拝読させていただきました。
最初は人の形をした虫が殺されるだけのスプラッター作品なのかと思って読みましたが、読んでみたら全然違く、奥が深く、作品に引き込まれました。
すごくいい作品だと思いました。
(すいません、もっともっと色々と書きたかったのですが、私の感想が下手すぎてうまく書けませんでした)
作者からの返信
とんでもないです。「奥が深い」と評価していただき、とてもうれしいです。自分でも、どうしてこういうものを書こうと思ったのか、よく分からないのですが、なにかを読み取っていただけたのだとすれば、大変ありがたいことです。
コメントだけでなく、レビューまでいただきまして、どうもありがとうございました。励みになります。