4-②
「秘策ってまさか! あの禁断の能力のこと?」
《はい。もはや
ゴローラモは
「でもあの能力は条件が
ちょうどその時ドアがノックされ、
「青貴婦人様、クレシェン様よりお世話を言いつかりました。私は王太子殿下付きの女性すべてを取りまとめる女官長のブレスと申します。青貴婦人様もこちらにおられる間は、私の管理下に入っていただきます」
四十代とおぼしきブレス女官長は、
その女官長が、まん丸に太っているのを見て、フォルテはゴローラモに目配せした。
ゴローラモはフォルテと目が合うと、ぶるぶると
「朝食の前にこちらのドレスに
ブレス女官長の後ろから
「着替え? でも私はこのままで……」
女官長はフォルテのドレスを上から下まで見た後、バカにするようにふんっと笑った。
「後宮の三貴妃様はお目
「お目汚し……質素……」
ショックだった。
この衣装は占い用にピットにお金を借りて町の
「お手伝い
ブレス女官長は、フォルテのヴェールに手を
「ま、待って!!」
フォルテは慌てて後ずさる。
「ヴェールをつけたままでは着替えられません。朝食も食べられませんよ」
「そ、そうだけど……」
「さあさ、朝食がさめてしまいますわ。急いでお着替え致しましょう」
ブレス女官長は見た目通りの
「ゴローラモ!!」
フォルテは慌てて
「は? 誰のことでございますか?」
ブレス女官長が首を
「もう! こうなったらしょうがないでしょ? 嫌がってないで早く!!」
「何をおっしゃって……」
言いかけた女官長の首がカクンと落ちた。
そして次の
「ひ――ん、気持ち悪い。嫌だ、嫌だ~~!」
「情けないことを言ってないで、ちゃんとやってよゴローラモ」
フォルテは小声で女官長に
女官長は
「あー、
「で、でもブレス女官長様……」
侍女達がざわざわと不安そうに
「私の言うことが聞こえなかったの? 早く言う通りになさい!!」
少し強めに言うと、侍女達は
どうやら、この女官長は相当
女官長と二人きりになると、フォルテは安心したように
「あ、危なかった。よかったわ、女官長が豊満な女性で」
「何がよかったんですか! よりにもよって、こんなブヨブヨの体……」
女官長は自分の体を見回して
「仕方がないじゃない。ゴローラモが太った人にしか取り
「わーん、どうせ憑くならもっと美人がよかった。こんな
「でも女官長よ。これで女官と侍女は
「うっうっ。
ゴローラモは、贅肉がたぷたぷと
用意されたドレスに着替えたフォルテは、いつでも顔を
「じゃあ朝食を食べましょう。ゴローラモも食べていいわよ」
テーブルには、豪華な食事がセッティングされていた。
「ほ、ほんとですか! うわあ、物を食べるなんて久しぶりだなあ。死んで以来です」
「
焼きたてのパンにシチューにたくさんの果物。
テーブルの上は五人分ぐらいの食事が並んでいる。
「いただきま――す!!」
ゴローラモは大喜びで久しぶりの幸福を文字通り味わった。
「さすが王宮ですねえ。朝からこんな
ゴローラモは見た目そのままの食欲でパクパク口に放り込む。
「なんと、この体は食べても食べても満腹になりませんぞ。気持ちいいぐらい食べ物が
逆にフォルテはその食べっぷりに
「食材は確かに
「ピット殿ですか。私の生前はまだ
「あの
「
「うふふ。そうね。そんなことができたら簡単なのにね」
気づけばテーブルの食事を完食していた。
後片づけに侍女達を部屋に入れると、みんな空っぽになった皿とフォルテの体を
「では後ほどお
ゴローラモ女官長は、朝食でさらに巨大になった体で頭を下げて出ていった。
このまましばらくブレス女官長に成り代わって王宮を探ることにしたのだ。
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