第五章 フォルテ、水妃の宮の貴妃様を占う
5-①
「おーい、おい、おい。うおーん、おん、おんおん」
仮宮の一室では、青貴婦人付きとなったブレス女官長が
「もう、いい加減泣きやみなさいよ、ゴローラモ」
そう。中身はゴローラモのままだ。
「だって、だって、王太子
どうやら王太子に会ったらしいと、フォルテはため息をついた。
「あんなおぞましい姿に……。この女官長がガリガリに思えるほどの
「結構失礼なこと言ってるわね。殿下ってやっぱりそんなに太っているの?」
「太ってるなんて
「ふーん。じゃああの
「最後にお
「もう、何を言っても悪口にしか聞こえないわよ」
忠臣のゴローラモがそこまで言うほどなのだから、よっぽどだ。フォルテはつくづく
うっかり気に入られて後宮なんかに
もっとも……別件ですでに後宮に召されてはいるが……。
「きっと何度も
「でも太っているならちょうどいいじゃない。ゴローラモがちょちょいと
「なんと
そうだった、とフォルテは思い出した。ゴローラモは忠誠心に
第一の主君は死んでもなお母テレサだが、二番目は王家なのだ。
それは昔から変わらない。
「実は
「負い目?」
「はい。今までフォルテ様には
「側近騎士?」
未来の国王の側近騎士といえば、いずれは重臣を約束された大出世だ。
「ですが、ちょうど同じ時にテレサ様のヴィンチ
「な、なんでそんなこと……」
王の任命から
そこまでしても母テレサのそばにいたかったのか……。
「テレサ様のいない人生など、どうしても考えられなかったのでございます」
きっと母テレサはゴローラモにとって
「しかし、その後なかなかいい側近騎士が見つからず、殿下は何度も刺客に襲われ、命の危機に
「何もそこまで責任を感じなくてもいいんじゃないの? 側近騎士と言ったって一人じゃないんだもの」
「いいえ! 先日も申しました通り、私は当時
「お父様が死んだ後、あっさり
「あ、あれは、テレサ様の死で精神的に不安定になっておりまして……。いえ、済んだことはいいのです。とにかく、私は殿下に大きな借りがあるのでございます。たとえずんぐりむっくりの
「もう、分かったわよ。憑依したくないんでしょ? だったらブレス女官長でいいから、後宮を
「分かりました。部屋を出て女官長についたり
「
「はい、それです」
「ついでに部屋の出入りに自由のきく
「出入りに自由のきく衣装とは? 危ないことはやめてくださいよ」
「分かってるわよ。ブレス女官長が占い師用に
「できるかどうかは分かりませんが……やってみます」
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