第4話 チーム結成!

 後で拓真に聞いたことだが、優木さんの本名は優木英(ゆうき はな)2年D組の中でも飛び抜けた成績を誇り、学年模試で去年は全て1位を取り続けたバケモノらしい。拓真は一度たりとも超えられなかったと悔しそうにしていた。

 そんなこんなで開聖高校クイズ研究部は学年1位と2位とクイズオタクの3人という謎のメンバーからスタートすることなった。



「やっと中間テストおわったな新!成績は大丈夫だろ?俺が見てやったんだからな。」


「あぁ拓真のお陰で無事赤点は回避出来たよ、助かった。」


 拓真の世話になった分赤点を取ることは無かったが、数学と英語が52点と49点と言うなんともギリギリな点数だった。ちなみに得意の化学と日本史は80点と89点だった。


「因みに拓真は平均点いくらだったんだよ?」


 どうせ90点は超えているんだろ?っという言葉は胸しまっておいた。


「平均点は93.6だったよ。優木さんに0.8点負けたよ。やっぱり国公立大学医学部志望には勝てないや」


 拓真が諦めた様な表情で溜息を吐いた。上位層の争いには付いていけないや…


「それだけ点取れればもう良いじゃん!拓真は医者は目指していないのか?」


「俺は…まだ考え中、、、工学部か理学部かな。将来どの職業に就くか考えないといけないけど、実感が湧かないよな…。それより、今日からクイズ研究部本格的に活動スタートするんだろ?新」


「当ったり前じゃん!遂にだよ、クイズ研究部の活動ができるんだよ!早速今日の放課後部室に集合な!優木さんにも伝えておいて」


 拓真が「おう」と言って教室を後にして行く。その足取りも興奮が冷めやらない感じだった。




 そして、その日の放課後にクイズ研究部の部室に集まった3人でチームを組む事になったのだが……


「とりあえず、誰がどの分野、ジャンルクイズに回答して行くのか決めないといけないわよ!」


 優勝木さんが非常にやる気になっていてくれているのは嬉しいのだけど、部長は僕である。このままクイズ研究部の主導権を握らせてたまるか!このままではマズイと思った僕は慌てて口を開いた。


「まず、選択科目のあるものから決めて行かない?僕は社会は日本史選択、理科は化学と生物。拓真は地理選択、理科は化学と物理を選択していたよね?優木さんは?」


「私は、世界史選択に理科は化学と生物を選択しているわ。」


「なるほど、では雑学全般は皆んなで日本史は僕が、地理は拓真、世界史は優木さん。同様に化学は皆んなで、物理は拓真、生物は僕と優木さん。満遍なく回答範囲を振り分けられたと思うけど、何か意見ある?」


 二人が僕の意見に賛同してくれたのでホッと一安心したのも束の間、優木さんが口を開いた。


「美海君、副部長はどうするの?これも決めておかないといけないわよ!それから優木さんじゃなくて、英か英さんって呼んでくれないかしら?同じチームになったんだから、いつまでも堅苦しいのは嫌よ。」


 いきなり距離を詰めてられて驚いたが確かに副部長を決めておくのは必須だ。僕が補講などで顔を出せない時に部を纏めてくれる存在を誰かに任命しておかないといけない。


「え、っと英さん?英?英ちゃんの言う通り副部長は決めないとな…拓真がいいと思うんだけど…どうかな?」


 少し躊躇いながら下の名前で呼んで見たら、提案して来た本人が少し頬を赧めながら口を開いた。


「英ちゃんは止めてよ、子供じゃないんだし、少し馬鹿にされている気がするもの…」


 優木さんそんな態度は初めて見たのだろうか、拓真が面白そうに口を開いた。


「英ちゃんでいいじゃないか。それに、副部長も英ちゃんの方が知識もクイズにかける思いも強いと思うしな!。何ていったて学年1位の成績を誇っているのだからな!」


 拓真がそう言うと、更に恥ずかしそうになった英ちゃんが


「澄空君まで、、、馬鹿にするのは止めてよ…。」


「英ちゃん?澄空君じゃなくて、俺のことも拓真って呼んでよ、そんで新のことも美海君じゃなくて新って呼んでくれよ、堅苦しいのは嫌なんだろ?」


 拓真が英ちゃんに更に追い討ちをかけてそう言うと、英ちゃんは覚悟を決めた様に口を開いた。


「クイズ研究部の副部長は私がやるわ!拓真も新も私に付いて来ることね!これから最強のチームになるんだから!」


 マズイ。クイズ研究部の主導権が英ちゃんの手に渡ってしまった……。



こうして開聖高校クイズ研究部の初日は、チームの結成と副部長の決定で幕を閉じた。


 


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