第15話戦闘開始って本当ですか?!

 数分の間、上に上る階段を目指して、歩ていると魔物の気配を感じた。


「なんかこっちに来ているなぁ……」


 反応は複数個、しかも似たような反応なので恐らくは群れだろう。


「隠れるところは……なさそうだもんなぁ」


 辺り一面緑の平原が続いている。隠れることができる場所何んてないだろう。


「一応、戦闘態勢は取っておくかぁ」


 俺は神器を構えだした。そして数十秒後、俺の目の前に五匹で構成された魔物の群れが現れた。


「えーっと、【神眼】」


 【神眼】とは、相手の名前やら、ステータスやら、隠蔽しているスキルやら、いろいろと見れる便利なスキルなのだ!

 帰ってきた結果は、


 【レッサーフェンリル】

 ・神獣フェンリルの因子を持つ魔物。狼に由来する狡猾さとフェンリルの因子による魔法耐性などを併せ持つ。群れで行動し、獲物を狩る。


「なんかやばそうなの来たんだけど?!」


 何々、フェンリルの因子って何?! てかいきなり神獣の因子を持つ奴が俺の前に出てくるとか、何の嫌がらせだよ!


「でもやらなければ死ぬし……いや、死ぬのか?」


 俺って一応神になったわけだし、肉体がなくなっても本当に死ぬのかな?


「と、とりあえず……やるか」


 狼たちは俺を見つけたのか、取り囲むように離れた。


「さてと、【顕現J・神兵】」


 俺の手元には一枚のカードがあり、そのカードに描かれているのは兵士を模し、そこにJと書かれたカードだった。そして俺のセリフに反応するようにカードが光り、俺の周りに個性のない槍を持った兵士が現れた。その数約五百人が顕現した。


「さらに付与、【属性・炎】」


 真っ赤なハートの書かれたカードを掲げると、兵士たちの持つ槍に赤いオーラのような物が纏わりついた。


「さぁ、蹂躙を始めよう」


 ちょっとかっこいいことを言ってみた。言ってみたかったんだよね、こういうの。

 俺の軽い考えで放った言葉とは裏腹に、兵士たちは狼たちに向かっていった。


「あれ、本当に蹂躙じゃん……」


 俺の呼んだ兵士が、数十人で一匹を囲い、槍で突き刺している。もうまさに滅多刺しといった様子だ。


「え、いくらレッサーとはいえ、フェンリルの因子を持ってるんでしょ? 弱くない?」


 ちなみにもうレッサーフェンリルは死に絶えている。


「ま、いいか。 取りあえず上を目指そうか」


 呼び出した兵士を元の戻し、別空間の中にレッサーフェンリルの死骸をしまい、歩き出した。


「【神眼】……上に続く階段はあっちか」


 【神眼】で階段を探し出し、階段のある方向に歩き出した。てか、【神眼】便利すぎるわ。こっちの世界に来る前の世界でも欲しかったわ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る