第14話変なところに飛んだって本当ですか?!

「……よし、転移は完了かな?」


  俺は自分で初めて転移魔法をしてみた。その結果は……。


「え……どこ、ここ?」


 辺り一面平原、地平線が見えそうなくらい辺り一面が緑だ。


「まて、落ち着け……こんな時こそ慌てたらだめだ……」


 落ち着いて、【スキル創生】により、【現在地認知】を創生し、さっそく発動した。


「これで多分使えるはず。 よし、発動【現在地認知】」


 スキルは何の問題もなく発動し、すぐに結果は返ってきた。


 【覚醒の神住ー九十五階層ーnonameー】


 と、返ってきた。え、噓でしょ?


「そ、そんなはずはない……」


 俺は若干引きながら、もう一度【現在地認知】を使用した。結果は……。


 【覚醒の神住ー九十五階層ーnonameー】


 と、まったく変化はなかった。


「分かってはいたけど……わかっていたけど九十五階層って……」


 なんでそんなところに転移したのよ俺……いくら初めてとはいえ、なんでこんな深層に……。


「いや、くよくよするのはここまでにしよう。 さてと……まず分かったことは、ここは間違いなく俺がみんなと一緒に入った覚醒の神住だという事」


 これはラッキーだった。もし変なところに飛ばされたらそれこそ何年かかるか分からないからだ。


「つまりは登っていけばいつかは必ずみんなと出会えるという事か」


 そしてもう一つ気になったことはと言えば……。


「この、nonameとはもしかしてここの階層の名前のことだろうか?」


 名前がないってことは、ここに到達した人が一人もいないという事か?


「え、じゃあ俺がここを【緑広りょくこう平原】なんて言い出せえばそうなるのか?」


 さらっと、気になったことを口に出してみた。だがそれが間違いだった。


「まぁ、そんなことで名前が付くなんてことがあるはずなんて、無い……よ、な?」


 怖くなったので【現在地認知】を使った。


 【覚醒の神住ー九十五階層ー緑広りょくこう平原】


と、しっかりと名前がついていた。


「は、はは……ま~じでか……そんなことあるんだ……」


 もはや乾いた笑いしか出てこない。え、まさかこんな簡単に決まるなんて思わないじゃん!


「マジか……ならもっと考えて発言すればよかったわ……辺り緑一面な眺めが広大な範囲であるからって簡単な理由を縮めて呟いたのが、正式な名前になっちまったよ……」


 俺は数分の間、両手両膝を地につき、まさにガックリといった感じでうなだれていた。


「まぁいいや……と、とりあえず上を目指そう」


俺は九十四階層に上がるための階段を探すため、少しづつ歩き出した。

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