第9話ダンジョンがあるって本当ですか?!
「それでセレスよ。 話はそれだけか?」
「はい」
「ならもう出ていけ」
「な、何を仰るのですか?!」
「職務の妨げになるのだ。 わからんのか?」
「異世界の勇者様たちが職務に劣ると仰るのですか?!」
「そういっておるのがわからんのか?!」
「異世界からこちらの事情で呼び出したのに、協力してくれると申しているのですよ?!」
「ふん! 高い代償を払ったのだ。 せいぜい役に立つんだな!」
「な!」
「わかったらさっさと出ていかんか!」
「…………っ、失礼……します……」
そしてセレスさんが悔しそうに部屋を出ていくと、それに続いて俺たちも部屋を出た。あれがこの国の王だと考えると、悪いがこの国は数年で滅びるだろう。
「皆さん……すみませんでした……」
「いや、セレスさんは悪くないですよ!」
「とはいえ……身内なので……」
「なぁ、失礼を承知で聞くが、お前の父親、狂ってるな」
「蓮!」
「えぇ、昔はあんな様子ではなかったのですが……」
「何があったんだ?」
「わかりません……」
「まぁ、そこまで深く掘り下げる必要もないしいいか。
「どうした蓮?」
「や、何でもないよ」
「では皆さん、今からお部屋に案内させていただきますのでついてきてください」
俺たちはセレスさんに案内され、多くのドアがあるフロアに案内された。俺たちは三人、もしくは二人一組になってそれぞれ部屋に入った。俺たちの部屋には幼馴染三人組がそろった。
「なぁ、二人とも……どう思う?」
「どうって何が?」
「あの王の事」
「確かにあの王はすごく嫌悪感がしたね」
「俺はわからなかったぞ?」
「まぁ、勇は……」
「うん……」
「「鈍いもんな!」」
「声そろえんなよ!」
「草しか生えないわ」
「確かに笑えるな」
「そ、そんな鈍い?」
「「もち」」
「だ~か~ら~!」
そんな会話をしながら俺たちは、眠りについた。夢だと思いたい反面、現実だと楽しくなりそうだと思ってしまうのはゲーマーのサガだろうか。
次の日、俺たちはメイドさんたちにそれぞれ起こされ、みんなで朝食をとることになった。
「皆さんに本日の予定をお伝えします」
セレスさん曰く、この国の王城の真下にダンジョンがあるらしい。未だ未踏破のダンジョンらしいが、上層は強い魔物がいないということで軍の訓練にも使われるらしい。
「地下にあるダンジョン【覚醒の神住】と呼ばれるのですが、一説によると神々が住む世界につながる祭壇があるとされています」
「それで、そこに行って俺たちは何をするんだ?」
「何をとはもちろん……」
そこで俺は軽く睨みつけながら言い放った。
「じゃあ言い方を変えよう。 どこまで手の内を晒してほしいんだ?」
「そ、それは……」
セレスさんは驚いているが、誰がそうやすやすと手の内全部晒すと思う?
「蓮! 流石にその言い方はよくない!」
「少し黙ってもらえる? この会話にお前の出る幕はないんだよ、勇」
俺は制止をかけてきた勇に対し、強い口調で反論した。
「蓮!おま……」
「まて、勇。 落ち着け、あいつの言うことは確かなんだ」
「秀介……」
「駆け引きは俺たちの中であいつが一番うまいのは知ってるだろ?」
「あぁ……すまない……」
「で、話し戻すけど俺、いや、俺たちはどれだけお前らに手の内を晒せばいいんだ? お前たちは俺たちの何を求めているんだ? それに対してお前たちが払える対価はあるのか?」
セレスさんは少しの間、黙っていたが何かを決意した顔で答えた。
「あなたは私があの父と繋がっていると疑っているのでしょう。 ですが、私は少なくともあの父との関係は全くありません。 私はこの命を懸けて誓います!」
そう高らかに言い放った。
「俺は記憶力がいいんだ……その言葉、忘れんなよ?」
「はい、もちろんです」
「今はあんたを信頼しよう、今は……な」
そして俺たちは朝食を再開した。
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