第5話天職がわかるって本当ですか?!

「皆、どう思う?」


 勇は本題をためらいなく切り出した。でもこいつの顔はすでに決断済みの顔。あくまで確認といったところだろうか。


「どうって……お前はもう決めてるんだろ? 勇」

「あぁ、もちろんだ。 秀介」

「ま、お前は決めたら揺るがないし、俺もお前と一緒かな?」

「蓮。 ありがとう……」

「よせやい、気持ち悪い」

「ひどいなぁ……それで、ほかの皆は?」

「私はいいと思います」

「聖さん!」

「帰るすべもないなら、前に進むべきだと思います。 それに困ってる人は見過ごせません」

「ありがとう! 本当に助かるよ、聖さん!」


 クラスの中心人物の勇と聖さんが前向きな発言をしたことにより、ほかのクラスメートたちの考えも前向きになり、ついに意見は一致した。


「セレスさん。 俺たちはあなたたちの要望を聞き入れます」

「で、では……?」

「俺たちは魔王と戦います!」


 高らかに勇が宣言すると、それに呼応するかのように大きな歓声と拍手が巻き起こった。それはもう全国大会の優勝の時並みに。


「では、まず皆さんの天職を調べたいと思います!」


先ほどに比べ、声のトーンが上がり、うれしそうなセレスさんは俺たちの前に一つの水晶を持ってきた。大きさはバスケットボールぐらいありそうだ。


「こちらは【導きの水晶玉】というもので、手を当てることで皆さんの【天職】、【スキル】、【称号】、【魔法適正】などを調べることができます」


 安定のラノベ展開か。みんな嬉しそうにしているが俺はどうも信じられないんだよな。ゲーマーって基本的に自分のステータスとかを公開したがらないし。


「どなたからなさいますか?」


 と、問いかけられるが、怖いのか誰も名乗り出なかった。仕方なく俺が名乗ろうとした時だった。


「私が行きます!」

「俺が行きます!」


 クラスの中で中心人物の二人が名乗り出た。


「では、こちらの水晶に手を当ててください」


 いわれるがままに手を当てる二人。そして数十秒後、金色の光を水晶が放つと、まるでゲームのウィンドウのように空中に文字が浮かび上がった。


 名前:羽場勇

 性別:男

 年齢:十七歳

 種族:異世界人

 天職:勇者

 天職熟練度:一

 スキル:【鼓舞】【断罪】【神のしるべ】【天斬】【剣術】【自動治癒】【言語完全理解】

 魔法適正:【炎】【光】

 称号:【勇気ありし者】【導きし者】


 名前:聖清香

 性別:女

 年齢:十七歳

 種族:異世界人

 天職:聖女

 天職熟練度:一

 スキル:【自動治癒付与】【聖なる守り】【魔法耐性】【槍術】【言語完全理解】

 魔法適正:【水】【光】【治癒】【神聖】

 称号:【癒す者】【束ねし者】


「す、すごい……」


 あまりの二人のすごさに部屋中の誰もが息をのんだ。


「次は僕が行くかな」


 俺の横のいた秀介が前に進み、水晶に触れると、同じように金色の光を発し、文字が浮かび上がってきた。


 名前:天堂秀介

 性別:男

 年齢:十七歳

 種族:異世界人

 天職:賢者

 天職熟練度:一

 スキル:【魔法理解】【魔力量増量】【魔法耐性】【戦術理解】【把握の魔眼】【言語完全理解】

 魔法適正:【炎】【水】【風】【土】【光】【闇】【時空】【雷】【氷】

 称号:【知識ありし者】【魔導の高み】


 またまたチート性能をたたき出した。


「わああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!」


 先ほどの静けさを破るかのように、前にいる三人に対して、盛大な歓声が上がった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る