第2話大会の次の日が学校って本当ですか?!

 チュン……チュンチュン……

 小鳥のさえずりが俺の目を覚ます。昨日全国大会があったのに、今日もいつもと変わらず学校がある。


「んん~。 さて、起きるか」


 俺はベッドから降りると、制服に着替えだした。


「おはよう。 母さん、父さん」

「あぁ、おはよう」

「朝ごはん出来てるわよ」

「お? ありがとう!」


 俺の家は三人家族だ。ゲーム会社の社長の父さんに、イラストレーターの母さん。そして高校生にしてプロゲーマーの俺、くれないれん

 ちなみにキャラネームのグレンは名前をつなげただけである。後、しいて理由を挙げるなら、俺は生まれながらのオッドアイだ。左目が少し赤みがかっている。


「やべ、遅刻しそう!」

「まぁ、焦るな」

「そうそう。 しっかり噛みなさいよ」

「あぁ、分かってるよ……ご馳走様」


 俺は食べ終わると同時にスクールバックを持って玄関に向かった。


「行ってくる!」

「気を付けるんだぞ!」

「行ってらっしゃい!」


 俺はその言葉を聞きながら、駅に向かって自転車をこぎだした。




「よし、着いたな」


 俺の通っている学校は【集輝学園】と言って、国内でも三本の指に入るといわれているほどの名門校だ。しかもこの高校は芸能活動なども推薦しているらしく、芸能活動優先できるので、大会などが被ったときにも、公欠扱いにしてくれるので助かっている。


 俺はいつもの窓の近くの席に向かって歩いていき、カバンを下すとカバンの中から一冊の本を取り出した。

 今話題になっている【ライトノベル】というものである。今、俺が読んでいるのはクラスが異世界に召喚されて、ダンジョンを攻略するといった内容の話である。


 俺が本を読んでいると、声をかけられた。


「おはよう。 昨日の大会すごかったな。 蓮」

「あぁ、ありがとう。 おかげで寝不足なんだよ。 寝てたら起こしてくれよ? 勇」

「いや、寝るなよ」

「確かに」


 こいつは羽場はばいさむ。俺の幼馴染だ。身体能力とコミュニケーション能力が優れており、いつもクラスの中心にいるやつだ。


「やぁ、おはよう。 昨日はお疲れ様。 蓮」

「ありがとな。 秀介」


 今登校してきたのは天堂てんどう秀介しゅうすけ。俺と勇の幼馴染で、とても頭がいい。期末テストは常に学年一位をキープし続けている。俺もよく勉強を見てもらっている。


「昨日は何時帰りだったんだ?」

「インタビューの後に祝賀会とかなんやかんやあって、家についたのは二時半とかだよ」

「そうか。 今日、家帰ってしっかり寝ろよ?」

「もちろん」


「紅君。 先週言ったプリント集めてもいいかしら?」

「あぁ、ごめん、聖さん。 はい、これ」

「クラス委員の仕事だから気にしないでいいわ。 それと、体調管理はしっかりね?」

「あはは……気を付けるよ」


 今の人はひじり清香きよか。俺のいるクラス、二年一組のクラス委員をしている人だ。美人で、誰にでも優しいので非公認のファンクラブができている。ちなみにテストも学年で五本の指に入る秀才だ。


そんな感じで、いつもと変わらない俺の朝が始まった。俺は窓の方を見ながらそんなことを思った。

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