5章第2話
この店、ファミレスでもないのにドリンクバーがあったので、つい長っ
しかし深堀りしてもやっぱりアメリカ大統領の発表は要領を得なかった。具体的に、何をどうすれば「ノーライフ」なる存在に対抗することができるのか。市民にとって脅威となる存在なのか。そのあたりのことも明らかにされていない。
ただ、おれとリオンの立場からなら分かることがないわけではない。つまり、おれというノーライフとアマテラスに憑いていたノーライフ、二つの事例があるからには三つ目の事例があっても当然不思議ではなかったが、それが裏付けられたということ。さらに、ノーライフはどうやら人間社会に脅威を与えるほどの規模で無数存在しているらしいということ。そんなあたりのことである。
結局、おれという存在は何なのか。まだ分からないことだらけだが、一つだけ思うことがある。デザートに注文した「濃厚クリームブリュレキャラメリゼ仕立て」の前で相好を崩す、あどけなくすら見えるリオン。おれは……この笑顔を守りたかった。この娘と一緒にいたいと、今はそう思う。もしもいまのおれに夢があるというなら、それが俺の夢だろう。
「? なんだ、じろじろ見て」
「なんでもない。この後、水族館見ていこう」
「飯は食わねば動けなくなるから食うが、魚の水槽を見ても我々の求める情報には辿り着けんと思うが」
「そんなんじゃないよ。デートしよう。そう言ってるんだ」
「ひゃ!? で、デート……!?」
リオンは赤面した。うーん、やっぱり、可愛いよなぁ、この子。最初に会った時の、頭がたくさんある奇妙な悪魔とこのリオンと、おれの中ではその二つはもうイコールでは結びつかなくなっていた。ダンタリオンはダンタリオン、そしてリオンはリオンだ。借り物の名とはいえ、おれがダンテであるように。
そんなようなわけで、そのあとおれたちは水族館を散策した。二人とも、言葉は少ながちだった。
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