4章/隠れし太陽の神アマテラス
4章第1話
登場人物紹介
ダンテ:この物語の語り手。自分が何者であるのかを知らず、また誰も彼の正体を知らない。接触した対象に憑依する能力を持つ。
リオン:少女の肉体と精神性を持った魔王ダンタリオンの分霊。
スサノオ:日本神話に登場する英雄神。ダンテから草薙剣を奪い返すため、人質としてリオンを拉致した。
ティーウ:北欧神話に登場する軍神。現在は悪魔に身を堕とし魔界に暮らしている。ダンテによって召喚され、現在行動を共にしている。
「いや、草薙が喋ったのはともかく……その呼び方、まさか姉う……いや、大御神……?」
お前、自分とこの主神にスサちゃんって呼ばれてんのか……。
(そうです。事情によりこのような姿をしていますが、
「何を……ゴチャゴチャやってやがる。喧嘩に来たんじゃねえのかよ。ヒック」
ごめん、せっかく連れてきといて何だけどおれにも事情が掴めないからちょっと待ってて。
「と、とにかく姉上、じゃなかった大御神! 無事だったのなら話は早い! 早くこちらに戻って——」
(戻りませんよ。このような状況なのです。話は決着をつけてからになさい)
た、戦うのか? この流れで戦うのか? 全員、空気に呑まれてほとんど動けないんだが——あ、ティーウ以外は。
がきぃぃぃぃん
ティーウが、予備動作もなしにいきなりスサノオに仕掛けた。ティーウの剣の刀身に刻まれたルーン文字が輝く。一方、スサノオも剣で受ける。草薙とは別の剣だ。
(あれは
解説ありがとうございます。
「ならば、貴殿にては拙者がお相手仕ろう」
と言って、おれの前には鞍馬天狗が進み出た。のだが。
(あなたはすっこんでいなさい)
と言うが早いか、草薙が俺の手からすっぽ抜けてジェットの勢いで突進、その束の先端が天狗のみぞおちに突き刺さった。
「ぐぶっ……お、大御神……」
天狗は失神した。鞍馬天狗って、剣術の達人のはずだよな。まあ、剣術じゃ対応できないか、あれは……。
「おらおらおらおら、どうしたスサノオ! 百年前、おれっちを追い詰めたときの威勢はどうした!」
がきーん
「じゃあ、かあ、しいわっ……!」
べきーん
ティーウは調子が良さそうだが、スサノオは明らかに以前に見たときの闘気や殺気が欠けている。要するに、本領を発揮できていないのだろう。そうしたわけで、ティーウとスサノオは互角に切り結んでいた。
(ほら、やる気を出しなさいスサちゃん! 勝ったら、後で膝枕で耳かきしてあげますから!)
だからお前はどっちの味方なんだよ。
「あ、姉上……それマジで……!?」
スサノオの闘気がいや増した。そこに食いつくのかよ。シスコンかよ。
じゃきーん
「くっ……!」
ティーウが押され始めた。
「このままじゃマズいな! おい、人間!」
「おれの事か?」
おれが人間かどうかはかなり疑わしいんだけど、まあそんなこと説明している場合じゃないからスルーしよう。
「お前、おれっちの右腕になれ!」
「それは具体的に何をすればいいんだ」
「憑依の力があるんだろう! 合体するんだよ!」
力については移動中に少しだけかいつまんで説明したのだ。
「なるほど。じゃあ、行くぞ」
「おう!」
「霊威合体!」
「ごちゃごちゃうるせえ! とっととくたばりやがれ!」
カッ
おれはダンテの肉体に宿った状態のまま、ティーウと融合した。煙に包まれ、やがて煙が晴れる。そこにいたのは、やっぱり蛮族としか言いようのない姿ではあったが、一回り筋肉がビルドアップし、そして両腕が綺麗に備わった姿のティーウだ。右手には草薙剣、左手にはティーウの剣。二刀流である。
「おらおらおらおらおらおらおら!」
二つの剣を自在に振るい、スサノオに猛攻を加える。
「な、めるなァッ……!」
天羽々斬が振りかざされる。しかし、草薙の方が強力だった。
ガキッ!
次の一合の太刀合わせで、天羽々斬の刃は音を立てて大きく欠けた。
「その首貰ったぁぁぁぁぁ!」
返す刀で振り下ろされたティーウの剣がスサノオの首を跳ね飛ばすかと思われたその刹那、草薙から強力な波動が放たれた。おれとティーウの融合体は弾き飛ばされ、もとの別々の姿に戻る。それと同時に、草薙はまたジェット噴射の勢いでかっとんでいき、スサノオの頭部を猛烈な勢いで強打した。
「いってェェェ! 姉上、ひでェよ……」
痛いで済むのか、それ。生身の人間なら頭蓋骨ごと吹っ飛んでるぞ。さすが英雄神。
(お仕置き完了。さて、これにて一件落着)
そうですか。
「で、おれたち何で戦ってたんだっけ……?」
「余を助けるためであろうが、たわけ! はよこの縄を解け!」
「あ、そうだった」
【熱田大神】日本神話
草薙剣を
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