エピソード2 ししゃも と トマト
8-8=N
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子供の頃にあだ名はあった?
彼女は僕の肩に頭を乗せ、身体の半分を僕の身体に覆い被せるように横たえていた
彼女の肌のぬくもりが心地よく感じられた
あだ名?
僕は聞き返し、少し考えるふりをした
シシャモ
と僕は答えた
彼女は僕の胸につけていた顔を上げ僕を見た
ニヤニヤとした笑顔で、ししゃも? と僕の言葉を反復して楽しそうに笑った
僕は何故シシャモというあだ名になったのかを詳しく説明した
彼女のワクワクした瞳を、僕はドキドキしながら見ていた
*
彼女は美女という容姿ではないが、華がある女性だった
育ちの良い雰囲気、知的で独特のユーモアがあり、そして表情が豊かだった
彼女の魅力を最大限に引き立たせていたのは、左右の色が違うオッドアイと言われている彼女の瞳だった
右目が淡いブラウン色で、左目はほぼ黒に近い色だった
僕は彼女のオッドアイがとても好きで、その眼差しで見つめられる度に鼓動が高鳴った
*
わたしはね、トマトって呼ばれていたの
名前がトウマでしょ?
友達は最初トマって呼ぶようになって、それが進化してトマト
彼女はクスクスと笑いながら僕の顔に自分の顔を近づけた
ししゃもさん、私がトマトちゃんだよ
彼女のいたずらっぽいオッドアイが僕を見つめ、優しくキスをしてくれた
*
僕たちは再び お互いに希望する事を、お互いの優しさで表現しあった
*
静けさの中で彼女のスヤスヤとした息づかいが聞こえてきた
僕の上腕をまくらにして、僕の方に身体を向けて彼女は眠っていた
僕は彼女の寝顔を見つめた
眠りから覚めたら、片方の瞳がトマトの色になっているのかな
そう思いながら僕は彼女の瞼にキスをした
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