インプット・アウトプットについて
自分のインプットとアウトプットとにズレがあるような気がしてきた。
いやもちろんズレがあることに気付いてはいたのだが、もっと照準を近付けるべきかどうか……という問題である。
私ももちろん日々色々なものをインプットしている。
録画したテレビ、YouTube、読書、カクヨムの作品、ネット漫画、ライブ……もちろん純粋に好きだからやっているわけだが、物を書き始めてしまった以上「これに触れることで自分の表現や発想に何か刺激がもたらされるだろうか?」という視点が入るようになってきてしまった。
自分自身が純粋に興味のあるものよりも、世間的に興味を惹くであろうもの、自分が書けそうなものと親和性が高そうな作品を優先して摂取しなければ……という意識が働くようになってきてしまったわけだ。
マンガやアニメにしろ世間的に大ヒットしたものを全く知らない、というわけにはいかなくなってきたし、世間的傾向を探るということをとても考えるようになった。
そうした傾向が強くなればその境目が曖昧になっていきそうなものだが……私の場合はそうでもない。やはり自分の興味のあることは入って来やすいし、傾向を知るために観た作品を面白く感じることは多くない。
世間的な傾向など無視して、自分の興味のあることを突き詰めていけば良いじゃねえかよ、と多くの人は思うかもしれないし自分自身もそう思っていたが、カクヨムで執筆を進めるうちに自分の感覚にも変化が生じてきた。
やはりPVが明確な数字に表れるというのは大きなことなのである。
また「誰も読まないとしても意地でも書きたい!」というほど明確なテーマが自分の内にそれほどないようにも思えてきたのだ。
誤解されやすい部分かもしれないが、世間的傾向を知りそれにアジャストしてゆくことは「売れ線狙いで魂を売って、書きたくもないものを書いている!」ということでは全然ないと思う。
自分の中に元々興味や熱量が少しでもないものは、どんな優秀な作家でも作品として完成させられないだろう。
自分の例で言えば宗教2世を扱った作品を書いた。
これは自分にとっては、書かなければいけない作品、という想いが以前からあった。
完成度としてもちろん満足はいっていないが、それでも書き上げたことで多少のセラピー効果はあったのかもしれない。同じテーマで書きたいという気持ちはかなり薄れた。
世間的にあまり興味を持たれたない分野だということも分かったし、突き詰めていくとそんなに発展性のあるテーマでもないように思えてきた。Twitterを見ているとほとんどの宗教2世は共感以上のものを求めていないように見える。
もちろん、いつかまたこのテーマで作品を書く日が来るかもしれないが、とりあえずはもう良いかな、と思っている。
それよりも多くの人に読まれるものを書きたい、少なりといえど広告収入が入って来る程度にはPVを稼ぎたい……という気持ちの方が強くなってきた。
じゃあ、お前はその範囲内で何が書けるのか?何が書きたいのか?
となると自分のインプットを見返すわけだ。
私は幅広く色々なものに興味を持つ方だと思うのだが、多分これはあまり作家として有利な傾向ではない。
世の中には無数の作品が溢れているわけだ。平均的に色々なものが書ける人間にはさして需要はなくて、突き抜けて得意なジャンルを持っている人間の方が圧倒的に需要が大きい。
かと言って今さら自分が何か特定のジャンルに絞るのも難しいのだが、インプットを見直してみる。
アニメやラノベももちろん手を出すが、特に最近はあまり面白いと思えるものに出会えていない。あ、最近初代のガンダムを観ているのだがこれはとても重厚で面白い。
マンガはネットで無料で読めるものが増えてきたこともあって、最近は再びよく読んでいる。
そして実は一番インプットとして多い、というか純粋に興味があるのは歴史・哲学・自然科学などの学問なのだ。
これが結構問題というか、このインプットは自分の作品に生きるのか?というのが最近思っていることで、この稿の本題なのである。
まだ歴史を題材にした作品は書いていないが、次の次くらいには書こうと思っている。しかしライトノベルを書く程度ならインプットをし続ける必要はそんなにない気もする。
歴史小説の強みというのは、この現実と地続きであるがゆえに読者に興味を抱かせやすいこと、ある程度共通認識が成立していて物語に読者を引き込みやすいこと……だと思っていたが、近年はそうした強みは完全にRPG風ファンタジーバトルものに取って替わられているように思う。
特にカクヨムで小説を読む層などは、日本の戦国時代よりもRPG風ファンタジー世界の方が親しみがあるし、前提の共通認識が成立しており世界観の説明が必要がないように思う。
まあそれでも近いうちに歴史ものは書いてみたいと思っている。
たまにNHK-BSでやっている宇宙の番組なども観る。
しかしこれを自分の作品のメインテーマに据え本格的なSFを書くのは私には恐らく無理だ。
内容的に難しい番組も多く集中して観ないと無駄な時間になってしまうことも多い。これをインプットをし続けることは果たして有効なのか?という気もするが、何かを辞めるというのは大きな決断であり、いまだ録画は溜まってゆく。
あとは哲学だ。
純粋に一番興味があるのは哲学なのだが、これを作品に生かすのも難しいだろう。
だがどこか発想の転換によって哲学・思想をポップな形で盛り込めないか……とは常に考えている。
何より普遍的な問題だし若年層の読者層のリテラシー能力を舐めるべきではない。
問題はフォーマットの部分だけだと思う。
学問的な臭みを除き気付かれにくい形で忍び込ませることは出来そうな気がしている。
さて他方の部分である。
私は今のネット小説の一大潮流となっているファンタジーRPG風世界観にほとんど触れて来なかった。
これを自分の中に馴染ませるためにそうした作品に意識的に触れていくべきか……とも考えてきたが今は少し否定的だ。
理由は……やはり面倒くさいということに尽きる。
そうした作品は前提としている共通認識の上に、さらにその作品独自の世界観の説明が入るものが多いように思う。
それを読むのも面倒に思う自分が、その世界を構築してゆくのは楽しさよりも面倒くささがかなり勝ってしまう気がするのだ。
小説を書く上で苦手なことはすべきではない。得意なことで勝負してゆくべきだ。
……などと言いつつ、あっさり前言を翻していたら「コイツ、一貫性ねえな」と思いつつも「考えが変わったってことは、成長しているんだな」と思ってもらえれば幸いです。
……いや結局「何をインプットしてゆくべきか」という本題に関してはこの稿を書いても一向に考えが進まなかったな。
(了)
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