北海道旅行④について
いよいよ最終日3日目です。
すでに旅行から2週間以上が経ち記憶は薄れつつありますが、写真等を頼りに何とか思い出して書きたいと思います。
3日目は7時過ぎくらいに起きたと思います。
昨日対応してくれたのが宿の女将さんかと思っていたのですが、今日の朝対応してくれたのが本当の女将さんで、昨日のキッチュな方はアルバイトだったようです。
女将さんは白髪の混じったそれなりのご年齢の方だとは思いますが、とても物腰の柔らかな素敵な方でした。
女将さんに見送られながら宿を8時半くらいに出発したでしょうか。
網走駅まで歩き、バスで10分ほどで『道の駅 流氷街道網走』に到着します。
そうです!この日のメインイベントは『おーろら号』という船に乗り、流氷を砕きながら進む砕氷船に乗ることだったのです。
砕氷船のツアーは中々人気らしく、道の駅内に併設されたチケット売り場にはすでに多くの人が並んでいました。
ロッカーに荷物を預け、9時半に『おーろら2号』に乗り込みました。2号というのは、1号と2号とが交互に出航しているがゆえです。
1日目・2日目は割と晴天だったのですが、3日目は時々雪もパラついてきて、雪国らしい曇天でテンションも逆に上がりました。
船内で売っていた肉まんとサイダーを飲み、出航してしばらくは船内にいたのですがしばらくすると田中さん(仮名)と共に甲板に出ます。
冷たい風を受けるとやはり指先や耳が痛いです。
すぐに船は流氷の中に突入してゆきます。
前日の流氷ウォークのような陸地にかなり近い場所での氷は、薄く小さいものがほとんどだったのですが、今度の流氷は大きさも桁違いです。小さい島ぐらいの大きさのものもありました。
「こんな大きなものに突入して行って大丈夫なのか?」と素人目には思うのですが、そこは流石の砕氷船。デカい氷には時間を掛けつつも、しっかりと氷を砕き進んでゆきます。
灰色の曇天と一面の流氷たち……ここが世界の果てかのようなイメージを抱かせる光景でした。
途中、天然記念物であるオオワシが氷の山の上で佇んでいました。写真も撮ったのですがあまり綺麗には撮れませんでした。
最初は我々は船尾側のやや高い位置のデッキに居て、これはこれで遠くまで見渡せるので良かったのですが、やがて居場所を水面近い船右側のデッキに移すと、もう手を伸ばすと氷に触れられそうな近さでその世界を堪能することが出来ました。
とても非日常的な経験をすることが出来たのですが、船内でずっと流れていたBGMが気になりました。
通常はヒーリング音楽のようなBGMが流れていたのですが……「幻想的な雰囲気は
こっちで勝手に感じるから、余計な演出は必要ないやで!」と思っていました。
観光地ではこうしたことは往々にしてあると思います。
そしてどのタイミングだったのかは忘れたのですが、BGMは切り替わり流氷をテーマにした演歌が大音量で流れ始めました。
……これには「うん、まあ……いいんじゃないかな」となりました。
プロモーション・PRのため、こうした部分も必要ではあるでしょう。
そんなわけで1時間半ほど氷の海の世界を堪能して、船は元の道の駅に戻ってきます。
寄港少し前ににテトラポット群と遭遇したのですが、一つが3~4メートルくらいある巨大テトラポットたちが数百個以上集合しており、とても恐怖を感じました。
「アイツらが地球侵略に来た宇宙人なら、戦わずして戦意喪失だろうな……」
などと中二病患者丸出しの妄想も広がりました。
また寄港直前になると、道の駅の従業員の方々がお出迎えに出てきてくれます。
岸から船までは20メートルくらいはあるにも関わらず、手を振り大きな声で「お帰りなさ~い!」と声を掛けてくれるのです。
まあもちろん道の駅から見れば、船上の客は店の客でもあるわけで……そういった意味では営業活動なのかな、という気もしたのですが、私は何となく違和感を感じあまり積極的には手も振りませんでした。
そんなわけで陸地に帰ってまいりました。
時刻は11時ごろでしょうか。
おーろら号乗り場、そして道の駅内はかなり人が増え混雑していました。
やはり朝一の船に乗る人よりも、次の便を狙う人が多いのでしょう。
我々はまたしてもバスに乗り込みます。
網走駅から知床斜里駅までは列車を利用しましたが、今回の旅ではほとんどがバスでしたね。
この時のバスの運転手さんは、前回乗った時と同じ運転手さんでした。
さて帰りは15時頃に女満別空港発の飛行機に乗らなければなりません。我々の旅も終盤を迎えております。
最後に向かった目的地は『網走監獄』です。
網走と言えば網走刑務所、というイメージを持たれている方も多いのではないでしょうか。
現在は近くの別の場所に刑務所があるようでして、こちらの網走監獄は資料館・博物館のような施設になっております。
実は前日訪れた北方民族博物館のすぐそばに位置しています。そして私は3~4年前の北海道旅行の際にも訪れており今回2回目の来訪となります。
入口前の正門には警備の人が立っている……と思ったのですが精巧に作られた人形でした。前回訪れた際にも騙されたような気がします。
さて時間もあまりないので施設内をサクサク進んでゆきます。
前述したようにこの網走監獄は、名前の通り監獄として使われていた場所ではあるのですが、北海道開拓……当時の言葉で言う蝦夷地開拓の歴史を収めた資料館的な意味合いが強いです。
明治初頭、政府にとって蝦夷地の広大な道を整え耕作地を切り開く……というのは重要な課題でした。
その先鋭となったのが、ここ網走監獄に送られてきた囚人たちだったのです。
当時、暖房器具もそれなりで、当然衣類も今のようなヒートテックなどないわけで、この地では生活してゆくことそのものがとても過酷だったわけです。
そのため施設内には生活を営んでゆくための器具・道具などが多く展示されています。
開拓の歴史を描いたビデオなどもあったのですが、時間の関係上サッと見るだけになってしまいました。
最後に5方向に伸びた獄舎に向かいます。
5方向の中央に看守の待機所があり、より少ない看守でより多くの囚人を監視できるように設計された、ということのようです。
効率的ではあるかもしれませんが、日本人らしい陰険さを感じました。……私はこの種の陰険さは江戸時代の村統治システムによって根付いたものなのではないか、と思っています。民族性が環境に因るのか、遺伝的形質によるのか……といった話になってくるかもしれませんが、徳川家康の責任は結構大きいのではないかと思っています。
獄舎内では脱獄囚の紹介もなされていました。
何度も脱獄に成功した囚人は『脱獄王』『五寸釘寅吉』などと異名を付けられ、周りの囚人たちから尊敬を集めていたようです。話のネタになっている脱獄囚もいるようでゴールデンカムイの中にも『昭和の脱獄王』白鳥由栄をモチーフにした人物が登場するそうです。
さて時間がない!と思い随分急ぎ足で回った結果、1時間近く時間が空いてしまいました。しかし何の問題もありません。
ここ網走監獄には『監獄食堂』もあったので、我々は昼食を取ることにします。
囚人風の割と質素な「サンマ定食」「ホッケ定食」などもあったのですが、私は結局ロコモコ丼を選びました。田中さんも豚丼みたいなものを食べていた気がします。
平日ということもあって周囲には学生たちの客が多かったです。
北海道での学生生活を送ってみたかったな……などとふと思ったりもします。
昼食を平らげ、20分以上かけて降りたのとは違うバス停に向かいます。
時間的には余裕があったのですが、このバスに乗り遅れることは帰りの飛行機に乗り遅れることを意味するので少し早足になります。
結果的には想定していたよりも一本早いバスに乗ることが出来ました。
さて、空港に着くとチェックインを済ませます。
この時点ではお土産は買っていなかったのですが、行き搭乗の際に引っ掛かった荷物の計量に私は怯えていました。北方民族博物館で買った資料などが増えているので重量が減っている道理はありません。
……またモコモコに着込まねばならんのか、と思っていたのですが帰りの際には厳密な計量はなく、少しホッとしました。(重量制限は守りましょうね!)
手荷物検査を済ませ、売店で少しお土産を買います。
重量の心配がなくなったとはいえ、私の普段使いのリュックサックはすでにパンパンです。
結局会社用に六花亭のバターサンドを選びました。私は基本的にケチですしスペース的にも余裕がないので少量のものを買っていったのですが、食べた人からはかなり好評だったので、もう少し多いものを買ってゆくべきだったと後悔しております。私自身も食べていません(´;ω;`)
そんなわけで15時頃に無事女満別空港を飛び立ちます。帰りは田中さんが窓際の席を取ってくれていたので、地形が良く見えました。
今まで見ていた地上がまさに地図上の表示のように拡大されてゆく様は、不思議な感動を覚えました。
成田には予定時刻よりも少し早く到着する、という順調ぶりでした。
成田空港からはスカイライナーを使えば1時間ちょいで最寄り駅まで付くのですが、我々は普通の快速電車を使い戻ってきました。
電車内では田中さんと色々な話をしました。私の小説の話などもしたように思います。田中さんは様々な方面の知識に詳しく、話していて楽しいです。
寒冷地仕様の服装をしていた我々にとって電車内はとても暑かったのですが、関東にも寒波が来ていたようで、外に出るとそれほど暑さは感じませんでした。
田中さんとは利用する駅も一緒なので、最寄り駅を降りてからも帰り道を共にします。
そして最近オープンしたばかりの中華料理店に惹かれ、入店します。
お客さんも中国の方がとても多いのでしょう。店員さんに中国語で話しかけられます。田中さんが「俺ら日本人だよ」みたいなことを中国語で答えます。田中さんは色々な国に行ったことのある人なので、挨拶程度なら幾つもの言語が分かるようです。スゴイ!
でまあその店は本格的な中華料理の店らしく、普段あまり馴染みのないメニューもありました。せっかくなので……ということで『豚の脳みその煮込み』と『カエルの油炒め』を食べました。
豚の脳みそはとてもクセがなく食べやすかったです。
カエルの方も美味しかったのですが、小骨が多かったのと、かなり辛かったので大量の米を一緒に搔き込まねばなりませんでした。
そんなこんなで食に関しては、東京戻ってきてからの物のインパクトが大きくなってしまいました。
というわけで以上です。
旅というのはやはり良いものだと思います。いろんな場所に行くと、それだけいろんなことを感じられるし、考え方などにも刺激が加わるのを実感できます。
旅に出かけることは本当に大きな財産だと思います。
今回は知床周辺でしたが、いつか稚内…そして樺太の方にも行ってみたいという想いは強くなりました。
長々と読んでいただきありがとうございました。
(了)
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