ポロス

去年の年末から『ポロス』と言うインドのドラマを観ている。古代インドの英雄の話らしく、結構インドでは有名な人らしい。




時は古代。インドの国は複数に分かれていた。パウラヴァとタクシラと言う国は仲が悪く、両国は反目し合っていた。タクシラの王女アヌスヤはインド統一を夢見ていて、パウラヴァの王バムニの元に嫁ぐことになる。ところが、パウラヴァの宰相シブダッド(バムニ王の兄)は、この結婚をよく思っていなくて、何かとアヌスヤ王妃に嫌がらせをし、生まれた王子(プルショータム=ポロス)共々亡き者にしようとする。宰相の陰謀でアヌスヤ王妃とプル王子はジェーラム河に投げ落とされ殺害される。しかし、忠実な家来の1人に命を助けられて、王子はインドのダスユという海賊の国みたいなところで身分を隠して、家来が養父となって育てられる。一方、マケドニアではアレキサンドロスがプルと同じ時期に誕生していた。2人は宿命のライバルだと、占い師に言われている。




20年が経ち、プルはダスユの青年になっている。この話はとても長く、シーズン4迄あるので、その途中が気になるなら、ぜひドラマを観てほしい。




色々あって、プルはパウラヴァの王になる。アヌスヤ王妃も行方不明になっていたが、ここでは王太后となっている。アレキサンドロスは父王を暗殺し大帝と名乗り、母親のオリンピュアスと共にダレイオス王を倒し、大国ペルシャを征服した。次にインドを征服しようとしている。プルたちは母国を守るため奮戦すると言う内容だ。ちなみにポロスというのは、ペルシャ王のダレイオスがそう呼んでいて、ペルシャではプルという名前はポロスと発音するらしく、蔑んだ意味があるみたいだ。




観ていていつも思うことは、オリンピュアスはアレキサンドロスを「ゼウスの子」と言っていて、アレキサンドロスも自分の事をそう思って疑わない。負けそうになっても、「この一滴の血を私に流させた事を後悔させてやる!」などと言って、少しも弱気な所はない。あの根拠の無い自信はどこから来るのだろう?他の登場人物はやはりみんな自信過剰なのだけど、アレキサンドロスはダントツだ。




なぜ、みんな世界征服をしようとするのだろう?みんなは言い過ぎかもしれないが、穏やかな王はいるにはいるが、結構な確率で負けてしまう。みんなが自分の国だけで満足して大人しく穏やかに生活していれば、戦争も戦も起きないのに、必ずこういう物凄い野心の塊が出てくる。人類の歴史の中で繰り返される。なぜ欲張るのだろう?人間の動物としての本能なのだろうか?学校の歴史の授業などで習ったアレキサンドロス大帝は、遠征して領土を広げて行ったくらいにしか書かれていなかったような気がして、「ふーん。そうなんだ。」くらいの感想しか持たなかった記憶があるが、インド目線で書かれているのか、すごく悪くなっている。そしてインドは崇高な国として描かれている。映像で観るからとても残忍に見えるが、母親の言うことには割と忠実でとても母を大事にしている。しかし母親も相当な野心家で、あるいはアレキサンドロスを凌ぐくらいかもしれない。そしてこちらもとても残忍だ。




まだ続きがあり、待ちきれず、新しい放送をYouTubeでインド語で観てみたけど、何を言っているかさっぱりわからなかった。ただ、登場人物はどうなるかがわかっているので、自分の予想と合っているか照らし合わせながら今は楽しんでいる。映像もとても綺麗で古代インドもマケドニアも素敵な格好をしている。アレキサンドロスはギリシアの彫像のようだ。ぜひお勧めしたいドラマである。



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