夏祭り
私の通っていた小学校の横には神社とお寺がある。小学校は、本当かどうかは分からないけど、お寺の墓地を小さくしてそこに小学校を建てたと聞いたことがあり、視聴覚室でPTAのお母さんたちが会合を録音していたら、何かすすり泣くような声が入っていたと聞き、子供心に怖かった事を憶えている。
神社の方には安らぎがある。毎年、お正月には初詣に行き、節分祭があり、夏祭りなど楽しい事が目白押しだ。小学校の私たちは、そのたびにソワソワし、よく担任の先生から「神社のお祭りには、一旦家に帰ってから行くように。」と言われていた。学校から帰ると、ランドセルを投げ捨てて急いで神社まで走っていく。露店が並び、お囃子が聞こえ、お好み焼き、べっこう飴の実演、綿あめ屋、金魚すくいなどを眺めながらどれを買おうかななんて考えるのが楽しかった。
中学一年の時、姉とお祭りに行った。後ろから4、5人の男子が狛犬の陰に隠れたり、木の陰に隠れたりしてこちらを伺っている。「何だろう?気味悪いな。」なんて姉と言っていた。気にしないようにしてあちこちの店を見ていたら、担任の先生に会った。学校帰りに来ている生徒はいないかパトロールしているらしい。さっき、数年前の教え子集団に会ったらしく、「あいつらお前の姉ちゃんに惚れてるぞ。」とニヤニヤしながら教えてくれた。当時、大学生だった姉は、この年頃の男子にキラキラした存在に見えるのかと思ってとても面白かった。
神社の賽銭箱でお賽銭を入れ、柏手を打つ。中を覗くと奥の方に昔の格好をしたお人形みたいなのが見える事が時々あった。「あれが神様か。初めて見たなぁ。」
いつも学校の隣で優しく見守ってくれて、子供たちに楽しいひと時をくれた平将門公。私は、日本の三大怨霊などと初めて聞いた時、とても残念な気持ちになった。「そんなんじゃないもんね。」と今も思っている。
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