第13話 魔王の誕生

 メルに後方支援を任せ俺はムカデに突っ込んだ。飛んでくる酸を避けオレがスナイパーで撃ち抜いたムカデを光り輝く剣で切り裂く、切り裂いた場所から緑色の体液が飛び散る。当たらないように避けると地面が溶けた。


「メル! コイツラの体液やばいぞ! 何かあったらなんとかするが極力避けろ!」

「了解しました!」


 そう言って振り回していたムカデを地面に叩きつけるソフィ、そしてそのムカデに何かテンションが異様に高いメルが発砲する。ムカデが苦しそうにうねうねしているのを横目にファイアーボールをスキル化して強化した、火球をムカデに放つ。


 肉が焼けそうなほど熱い熱波を放ちながら火球は高速でムカデに直撃する。こんがり焼けたムカデの出来上がり、後はメルとソフィのムカデだけだ。


 ソフィは、ムカデに何度も殴りを入れ、ムカデの口から何かが飛び出ている。そんなムカデの頭を狙いソフィがヘッドショットをして嬉しそうに叫んでいる。


 あの二人で何とかなりそうだったので見ているとムカデが死んだ片割れを喰らい始めた。ソフィーとメルが必死に妨害しているが止まらず食べきってしまった。そしてメルは、魔弾を撃ちすぎて気絶した5発が限界だったらしい。


「ソフィー! ムカデになにか変化があるかもしれない!気を付けろ!」


 そう警告を出した途端ムカデが光り始めた。そして光り終わった後には人型のそこそこイケメンな魔族が立っていた。


「感謝する! あの片割れを食らって俺が魔王になった! あぁ、この身にあふれるように流れる力! 素晴らしい。どれ1つ試してみるか」


 そう言ってメルに飛びかかった。メルはその手を振り払い俺のところまで後退した。


「ユウキ様、あいつには触れてはいけません」


 そう言って俺に見せた手は酷く爛れていた。俺はソフィの手を治してやった。


「ありがとうございます。ユウキ様‥‥如何なさいます?この状況であそこの人たちは守りきれません」

「メル‥‥俺を置いてあいつらを安全な向こうの階段の先へ連れて行ってくれ」


「そんな!ユウキ様はどうなさるつもりで?」

「後から行く」


 そう言って俺はショットガンをスキル生成する。同時にメルが使っていたスナイパーが消滅した。俺はショットガンを撃ちながら剣を振るう。普通の人間なら片手でショットガンを撃つなんて、不可能だがここは高レベルのゴリ押しだ。


「がっ! くくやるではないかその武器は是非欲しい! 最強の魔王として君臨するためにそれをよこせ!」


 一瞬体勢を崩したがすぐに立ち直りこちらに走ってきた。恐ろしく尖った爪で俺を引き裂こうとぶんぶん振り回してくる。決して避けられないことはないが攻撃するたびに飛んでくる液体がやばい。先程から背後の壁がジュワジュワいって溶けている。


 突然魔王が目を見開き俺の剣を凝視した。


「な、なぜその剣がここに‥‥っく」


 俺から後ずさり逃げているソフィ達を見る魔王


「やらせるわけ無いだろ!」


 魔王の背後に周り剣で切りつけようとする。その剣を素手で受け止める魔王、だが顔が苦痛に歪んでいる、突然眩く輝いていた剣が更に眩く光を放ち始めた。力がみなぎる。


「あ、っぐその剣をしまえ!」


 苦しそうに俺に飛びかかるだが遅い厄介な腕を俺は切り飛ばした。


「あっがっぐ! 貴様! 死ね」


 やつの体からムカデがはいでてきた。そのムカデが通った場所はドロドロに溶けている。すかさずファイアーボールを叩きつける。スキル強化された火球はとてつもない爆風とともにムカデを消し飛ばした。


「死ね死ね!」


 近接攻撃は、やめムカデによる攻撃を始めた魔王、だが俺の周りは先程のファイアーボールでマグマ状になっており来るだけで死滅している。


「お前が死ね!」


 ショットガンの構成を変え玉が集弾するようにした。そのまま、魔弾を何度も撃つ。玉が当たるたびに体が弾け飛ぶ魔王。


「くくくく、ここまでやるとは思っていなかったぞ。だが、ただの人間に俺は殺せない! 魔王は神に選ばれた勇者のみが殺せる! 人が選んだ勇者など所詮魔王を封印する程度しかできない! 今回はおとなしく封印されてやろう! だが次に目覚めた時この世界を滅ぼすのは俺だ!」


 そう言って手を広げ無抵抗をアピールした。


「どうした?封印しないのか? 勇者君その剣で私を斬りつければそれで封印できる。まさか知らないわけじゃないだろ?」


 何もわからないが、そういうことならやらせて貰おう!飛びかかり魔王を切る瞬間、剣が虹色の光を放ち始めた。そのまま虹色の剣で斬る。切る瞬間魔王は大きく目を見開く


「な!お前は‥‥そうか‥‥そうだったのか」


 訳のわからないことをいいながら粒子へと魔王は還っていった。疲れた。俺は膝を付き深呼吸する。階段の奥からソフィが走ってくる。


「ユウキ様! 大丈夫ですか!」

「あぁ問題ないけど何度かやつの体液が当たって爛れてるかも」


「見せてください!ソフィが確認します!」


 そう言って俺の服を剥ぎ取ろうとしてくる。抵抗しているとメルが来た。魔力枯渇の気絶から還ってきたらしい。


「ひどい怪我‥‥私が治してあげる」


 メルの治癒魔法は暖かく何か懐かしさを感じるそんな回復だった。


「すごいな‥‥傷がなくなった」

「ユウキ様は私の欠損を治してくださいました! なのでユウキ様のほうがすごいです!」


 ソフィが必死に俺をよいしょしてくれる。頭でも撫でておこう。ふむ先程から何か視線を感じる気がする。気のせいかな?

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