第12話 迷宮内部~戦闘開始~
迷宮脱出のために俺に着いてきたのは5人残りは自分のことに必死で俺のことなど見ていなかった。
「ゆ、勇者様だったんですね。偶然とはいえ一緒に居られてよかったです」
「勇者様がいれば安心です!」
そんな期待に満ちた声を色々かけられたが勇者と言われると、ここに来たときのあのムチ打ちを思い出して、いい思いはしない。
俺は、レベルを上げる必要はない。ソフィーは12レベルなので、ソフィをここでレベル上げしよう。幸運にもソフィーは龍の籠手という強力なスキルが有る。少しアシストすれば安全に倒せるだろう。
「ギシャァギギ?」
ちょうどいい場所にゴブリンが3匹ほどいた。
「きゃぁぁ!ゴブリンよー」
俺の背後で、カタカタ震えていた女性が騒ぎ始めた。正直うるさいし魔物に気が付かれるからやめて欲しい。と言うか気が付かれた。背後の女性を少し厳しい目で見る。
「あの? 付いてくるなら守るのでもう少し静かにしてもらえませんか?」
そう言うと取り乱していた女性は激怒した。
「勇者なんだから黙って私を助けなさいよ!」
俺は女性に向かって剣を振る。
「ひぃぃぃ!」
女性の背後でドサリと重いものが崩れる音がする。女性はそれに触れてしまい悲鳴をあげた。なぜなら女性が触れたものは巨大なミミズの形をした魔物だったからだ。
そんな事をしている間に遠くにいたゴブリンがこちらに走ってくる。
「ソフィーは一体に集中してくれ、後は俺が足止めするからその一体が終わったら足止めしているやつを倒してくれ」
「かしこまりました。ユウキ様!」
ソフィはゴブリンの一匹を殴り飛ばした。その一匹に追撃を入れる。その間俺は剣でゴブリンの足を切り動けなくしておいた。一匹倒し終わったソフィは続けて俺の攻撃していたゴブリンを壁に叩きつけ絶命させる。残り一匹は投石により倒した。
「ユウキ様!魔石を回収しておきます!」
「あ、うんよろしく」
ソフィーが魔石を回収するのを待ち、俺たちは再出発した。先程の女性も静かにしてくれている。暫く歩くと階段があった。人工物のようだ。
「ねぇ? ユウキ、私もなにかすること無い?」
メルが俺に遠慮がちに聞いてきた。
「そうだな‥‥メルには何ができるんだ?」
「ふふん! 聞いて驚きなさい」
メルが少し言葉を溜め焦らすので、ここまで聞いて俺はスキルを発動した。俺のスキルは賢者の叡智だ。この間はソフィのステータスを確認するのにあの眼鏡を使ったが、あの眼鏡の技術をスキル化したので今は別に必要ない。
メル14歳
レベル14
・ユニークスキル:聖女の手;触れたものを浄化し祝福を与える。強力な回復効果もある。
「あ、いいや別に言わなくて‥‥もう分かったから」
自信満々に自身のスキルを発表しようとしていた所を妨害され思いっきりメルがずっこける。
「ちょ! 分かったって何!私何も言ってない!」
「いや別に‥‥俺のスキルで分かったから」
「はぁ? じゃあなんで聞いたのよ!」
「まぁまぁ! ヒーラのメルにしてもらうことは特に無いかな?暇なら後ろの人の精神ケアでもしといて」
我ながら雑な対応である。だって奴隷のソフィと違ってメルを前線に出して怪我でもさせたら殺されそうだもん!
しょんぼりしたメルが後ろの人達のメンタルケアを始めるのを見てから歩き始める。
「ユウキ様! みてください! ドルガナ鉱石がいっぱいあります!」
ソフィの言葉通りその部屋は辺り一面にドルガナ鉱石が埋まっており色鮮やかでとてもキレイだ。そんな部屋をソフィがくるくる周りながら駆け回っている。
「ユウキ! 上!」
メルの警戒する声が飛んでくる。上を向くと超巨大ムカデが2匹いた。ムカデの一匹がソフィに向かって飛びかかった。
「ソフィ!」
俺はソフィの方へ走りムカデに飛び蹴りを食らわせた。ムカデの一匹は壁に激突し苦しそうにのたうち回っている。
「大丈夫か、ソフィ?」
「ユウキ様のおかげで助かりました。お手間を煩わせてすみません!」
「あいつやばいぞ‥‥一発蹴ったが硬さが半端ない俺のレベルで石を蹴ってる感じがするなんて‥‥油断はするな」
「ジャイアントワームクイーンとキングよ! 強烈な状態異常攻撃をしてくるから気をつけて!」
メルの声がする。なるほど‥‥俺はスナイパーライフルを作り出した。これもスキル産でリロードもたまごめもいらない、俺の魔力が玉だ。
「メル! 後方支援するからその龍の籠手で奴らの硬い鎧を破壊してくれ!」
「わかりました! ユウキ様!」
メルに飛びかかる二体のムカデの一匹にスナイパーを向け撃った。たまに当たった一匹は壁に突き刺さったが抜け出そうとうねうねしている。ソフィに飛びかかったもう一匹はソフィの剛力によりブンブンと振り回されている。
「ねぇユウキ君、そのスナイパー私にも使えたりする?」
メルがそう聞いてきた。そういえば彼女は前世が日本人だったな‥‥今の白髪の美人聖女からは想像がつかないが‥‥
「使えるなら使っていいけどオレ用にカスタマイズされてるから魔力消費激しいぞ?」
「いいから! 私が援護射撃するからユウキは突っ込んで!」
「分かった、ほらスナイパーだ。反動が激しいから気を付けろよ?」
メルが嬉しそうに頷いた。
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