第5話 いやその漫画知らないです

「わかりますよ。だって私は日本からの転生者ですから。」




彼女の発言に俺は声も出なかった。なぜって全くそうは見えないからだ。それは、前世の記憶を持っていると言うだけで生まれはこちらの世界なのだから当然と言われれば当然なんだが・・・




「こちらの名前はメルと言います。よろしくお願いします。ところで、海賊物のあの有名漫画はどうなりました?私ファンでずっと気になっていたんです!」




あぁやばいな、長すぎてみてないから知らないんだよなでも期待を裏切るわけにはいかない。




「でもさ、オレの来た時間軸とメルさんの来た時間が同じ時間軸かわからないじゃないですか?どこら辺まで見たんですか?」




「えっと魚の島のところまでです。」




やばいわかんない。どうしよう諦めて正直に話そう・・・




「すみません、実はあれ長くていつか読もうって思ってる間にこっちに来ちゃったので知らないんですよ」




「そうなんですか?じゃあ今私が布教しちゃいます!」




俺は、町に着くまでひたすら不況活動をされた。話を聞いているうちに興味を持ってしまった。




「メルさんこの世界で日本の漫画を布教するのはよくないです!見れないのがわかっていて布教されるとむなしいですよ。」




「あ、確かに.....ごめんなさい!」




メルさんは大して悪く思っていなさそうな笑顔で、そう言った。




馬車は街の門を通過しようとするが兵士に馬車を止められた。




「聖女様とそちらの方は、身分証をお持ちですか?」




そんなモノはないごまかせないかな?



「彼は、先程私たちが魔物に襲われている時に身分証含む一切を燃やされてしまったので無いんです。彼の身分は私が保証するので新しく作ってはいただけませんか?」



聖女様が俺のフォローをしてくれた。ありがたいあとでお礼ができたらしておこう。



「わかりました。ではそこの方こちらへ、その水晶に触ってください。職業、レベル、スキルに犯罪歴が出ます。」


やばいかもしれない。この世界のレベルの基準がわからないが480ってどうなんだ?それに職業って今なんだろう、スキルもまずいよな


「ユウキさん!こっちに来てください。」


メルさんがオレを呼ぶので兵士に断ってメルさんの方へ向かうと経歴を確認する水晶と同じような水晶を手渡してくる。


「こちらをお使いください、命を救っていただいたお礼です。こちらを使うとスキル習得ができます。この水晶に含まれているのは偽装のスキルです。」


そう言ってぐいぐいと水晶を押し付けてきた。


「ありがとうございます。使わせていただきます。」


水晶に触れ念じると体の中に温かい物が流れ込んできた。ステータスを見るとしっかりと習得されていた。急いで偽装をする。




「終わりましたら早くこちらに」




兵士に急かされ急ぎ水晶を触る。




「ほうほう、犯罪歴はないですね、レベルが異様に低いですけど貴族様でしたか?」




「いえ、箱入りで大切に育てられただけです。」




「なるほど、では今から水晶に書かれたことを写すのでしばらくお待ちください。今回は聖女様のお願いなのでお金は取りませんが次無くした場合はお金がかかります。」






「あと滞在費を、外から来た人たちには、一か月銅貨3枚必要になります。払えない、無断滞在は借金奴隷堕ちです。延長の場合はこちらに再度来てください」




事務的説明を聞いてメルのもとへ向かう。




「レベルどれくらいにしたんですか?」




俺はカードを手渡す。カードに目を通していくメルさんの顔が笑い顔に変化していく。




「あはははは!1レベルってあまりにも鯖読みすぎですよ!」






爆笑された。加減がわからなかったんだ仕方がないじゃないか!






「それで、どうします?教会に来ます?」






さすがにそこまでお世話になる訳にはいかない




「いえ、ここまででいいです。近場の安い宿を教えていただけますか?」






メル一行は親切にそのまま宿まで案内してくれた。そこは3階建てのそこそこ大きい宿「ミナの宿」という名前の宿だった。




「ではここで、いろいろお世話になりました。」




「いえ、こちらこそ助けていただいてありがとうございました。お礼は後日また窺うのでよろしくお願いします。」




そう言うと聖女一行は教会の法へ帰っていった。そういえば馬車に乗っていたので街を観光できなかった。明日ゆっくり観光しよう。そう心に決め宿に入る。




「いらっしゃい、一泊銀貨1枚だよ!何泊する?」




「一か月でお願いします。」






「金貨3枚でいいよ」




金貨三枚を受付嬢に渡す。金貨三枚を見て目を見開く受付嬢




「お兄さんお金持ちだね。まさか金貨の支払いが来るとは思ってなかったよ銀貨30枚数える気満々だったから肩透かしくらった気分だよ。あ、受付名簿に名前書いてね」




そう言いながら金貨3枚を調べる受付嬢




「私、シャリーっていうのよろしく!ユウキさん」




宿泊名簿から名前を見たようだ。接客ってこんなにフランクでいいのかな?俺がかしこまりすぎてるのか?

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