第10話 神様

 白く何もない空間。

 ここに居ると何故か心が落ち着く。


「1日も経たずに戻って来てしまいましたね」


 銀色に光り輝く髪を長く伸ばした、金色の瞳の女性が言った。

 その女性は神々しく、まるで神様のようだった。


「神々しいだなんて、照れます」


 あれ、こんな会話どこかでしたような……


「とりあえず、あなたが使って、死んでしまったのは『失命結合ロスト・チェーン』です。『失命結合ロスト・チェーン』を使うと、死んでしまうので注意してください」


 いや先に言って欲しかったんだが。

 じゃあ俺はミジンコに……


「あなたが転生するのはミジンコじゃないですミドリムシです。 ……というのは置いておいて、良いお知らせがあります!」


 目の前の銀髪の美女が神々しい、ほんとに神なんじゃないかって思うくらいの笑みを浮かべた。


「あなたがここに戻って来るのが早すぎて、まだ処理が終わってないので、今なら現世に何事も無かったかのように戻ることが出来るのです!」


 え、まじ?


「まじです」


 じゃあ俺が現世で死んだのはどうなるの?


「その点に関しては大丈夫です。この空間には時間という概念は存在しません。なので、異世界で過ぎた時間と現世で過ぎた時間は、比例の関係とかもありません。ですが、時間は戻すことは出来ないので、喉にナイフが刺さったところに戻ります」


 それはな。


「なので、あなたには選択する権利があります。現世に戻るか、ミドリムシになるか。……こんな事例は初めてなので、前者を選んだ場合は失敗する場合もありますが、ミドリムシになるよりはマシだと思います」


 じゃあ、二度なくしたこの命、前者に賭けてみよう。


「分かりました! そうと決まれば早速」


 神様がそう言うと、俺の視界が白くなり始めた。


「あ! スキル──!」


 神様は「忘れてた」と言わんばかりの声を上げた。


 そして────



 



 神様は



「次は死なないように」



 と言い、沢山のチート能力を渡してきました。



 



 多分そのせいで今、体にものすごい激痛が走ってるんだが!?

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