第7話 異世界 1
俺は視界が戻ると、まず自分の来ている服を確認したが、服は変わらず制服だった。
「おぉ、よくぞ来て下さった勇者よ!」
白くもじゃもじゃな髭を生やし、頭に王冠を乗せた男がそう言った。
全面石で囲まれているこの部屋の中、俺は魔法陣の上に立っていた。
石の壁に所々空いている穴からは光が入り、灰色の床を明るく照らしていた。
俺は他に誰か居ないのか、辺りを見渡すが、王様と、もう1人腕のところがヒラヒラしている大きな水色のドレスを着た、長い金髪と、水色の透き通るような目をした少女だけだった。
そして、その少女がスカートを少し持ち上げ軽く挨拶をした。
「初めまして、私はローレインと申します。ようこそ『ベルドチェス』へ、私たちはあなた・勇者様を歓迎致します。では着いてきてください」
ドレスの少女はそう言うと、男と少女に、椅子と机のある部屋に案内され、椅子に座ると、何やら王様が深刻そうに話し始めたり
「今、この国はかなり危機的状況なのだ──」
王様はそう言い、この世界について話してくれた。
簡単にまとめると、この世界には魔王が居て、それがどんどん国を侵略して行き、この世界で残っている国はここだけになり、他の国の人々もこの国に避難してきたため、食料の備蓄も2日前、既に尽きてしまった上に、今現在、魔王軍がこちらに攻めてきているらしく、国の遊撃部隊は既に全滅してしまい、残す兵力は
しかも街の中でも、個人で蓄えていた食料の奪い合いで争いが起きているらしく、街の中での死者もかなり出てしまっているらしい。
そんな時に、王様の寿命を代償に発動できる、召喚魔法によって召喚されたのが俺らしいのだ。
「──という事だ。それで君には魔王を倒して欲しい」
まぁそうだな。
普通に考えたら魔王を追い返すしかこの国を救う方法は無い。
「分かりました。任せてください」
俺はそう返事をした。
これはどこからの自信か。それは、チートスキルを持っているから湧いてくる自信だ。
「その代わりと言ってはなんですが、この国にある、1番良い装備を一式、俺に貸してください」
すると、王様は不思議な物を見るような顔をした。
「あ、ああもちろん良いが……」
に続け、王様は何か言いたげな顔をしたが、口を閉じた。
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