皇都第一中学校の生徒会選挙7
そして迎えた選挙当日。
千代がその日、初めて違和感を覚えたのは朝のホームルームの時間のことだった。
いつも担任の津田が連絡事項を行うのだが、教室に入ってきたのは副担任の男の教師だった。
「今日は津田先生が体調不良でお休みされているので代わりに私が務めさせてもらう」
昨日までは元気だったように見えたのに、と千代は思ったがこの時は考える暇はなかった。
「みんなも知っての通り、今日は学級代表を決める選挙を行う。このクラスは細川信也、京極美咲のうちどちらか二人の名前を投票用紙に書いてこの箱に入れるように」
そう言って生徒に投票箱を見せた後、投票用紙がすぐに配られたからだ。
千代は当然美咲の名前を書く。その後、ほかの人に誰の名前を書いたのか見えないよう四つ折りにし、投票箱に入れた。
その間、美咲と信也は静かに祈ることしかできない。
やがてクラスの全員が投票を終えた。
そしてその場で集計作業が教師によって行われる。
果たして結果は――
「二十九票を獲得した細川信也に学級代表を決定する」
「えっ」
クラスがざわつく。一年一組の人数は三十九人。つまり美咲が獲得した票はわずか十票だけということになる。
美咲は言葉が出ず、動かない。
ただ信也だけはまるでこの結果がわかっていたかのように余裕な態度を崩さず、美咲にこう言い放った。
「結構大差だったな、美咲。ところで入学式であんなに俺に偉そうに言っていたのを俺は忘れていねぇぜ」
美咲は精神的に参ってしまっているのか、何も言い返せない。
「今すぐ詫びろ!」
最後に美咲を追い詰めるようにきつく言い放った信也。美咲は黙ったままだ。
「何も反応しねぇ。心が折れちまったか」
信也は美咲に興味を失ったのか、千代の方を向いた。
「おい、千代は何か言葉はないのか?お前も俺に失礼なことを言っていたと記憶しているが、ん?」
千代は頭の中ではまともに話すべきではないと思っていたがこれだけは聞かずにはいられなかった。
「……いったい何をしたの?」
「俺は何もしてねぇよ」
そう言って信也は邪悪な笑みを浮かべる。
その日の帰り道、千代は落ち込む美咲をなだめることしかできなかった。
◇
*この作品はフィクションです。
* * *
まだしがない学生のw-Akiです。つたない文章ですが読んでくださってありがとうございます。訂正した方が良い箇所がございましたらアドバイスをもらえると嬉しいです。
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