皇都第一中学校の生徒会選挙4

美咲と別れ、家に帰った千代は給仕服に着替え夕食を作る。

 その最中に秀二が帰ってきた。

「似合っているな、その服」

「最初は気乗りしませんでしたが、いざ着てみると勝負服?戦闘服?といった感じで。それにいい素材でできていますねこの服」

「千代が飯田総理を嫌いでもその服に罪はないからな。それにあの人は安いものは送ってこないだろう」

それよりも、と千代は今日学校で起こったことを秀二に話した。

「まぁ、少なからず……信也君と言ったか?そういう人間もいる。人間社会を学ぶ一環だと思え」

「そう……ですね。それとその生徒会というのがあるのですね」

「ああ、あるな」

 千代の言葉に秀二は知っていたかのようにそう答えた。

「知っているのですか⁉」

 千代は少し憤慨して秀二に尋ねる。事前に教えてくれてもいいのにと千代は思った。

「ああ、皇都第一中学校の生徒会に属していたという実績は政界に入っても大きな武器になる。美咲さんにしてみれば何としてでも勝ちたいだろうな。それにしてもその年で姉が政治家……もしかするとそいつは……」

 現在の皇国は貴族院と衆議院からなる二院制である。うち貴族院の議員になるには貴族である必要があるが、衆議院は一定のお金(と言っても一般大衆からすれば大金だが)を用意することと二十歳以上という条件を満たせば議員に立候補できる。が二十代の議員などそう多くない。その人数は秀二を含め二人だけだ。

「?」

「いや、何でもない」

 千代が不思議そうに秀二を見ると秀二は話題を変えた。

「生徒会というものを知らずに入学した千代はあの学校をどう思った」

「とてもいい学校だと思います。特に生徒たち自身で学校のことを決める生徒会。なぜ私の地元などの多くの学校にそれがないのか……」

 千代の言葉に秀二は少し感心したそぶりを見せる。

「いい質問だ。が答えは簡単だ」

「と言いますと?」

「上の連中は自治とかそういう余計な考えを大衆に持ってほしくないのさ。あの学校はその上が通う学校だから生徒会とかがあるわけだ」

「な……んですか、それ……。賢くなってほしくないならそもそも学校なんて作らなければいいのに」

「その理由についてはいろいろあるが士官学校出身の俺から言わせてもらえば、もし兵隊として招集した時、最低限の作戦を理解してもらう頭は持っていてもらわないと困るからな」

「……」

 千代は言葉が出てこなかった。世の中は子どもが考えるようにはそう単純にはできていないらしい。

「千代、お前があの学校で一番学ぶべきものは国語でも数学でもない。この現代社会だ」


 ◇


 

*この作品はフィクションです。


* * *

まだしがない学生のw-Akiです。つたない文章ですが読んでくださってありがとうございます。訂正した方が良い箇所がございましたらアドバイスをもらえると嬉しいです。

 皇国の清水秀二は毎週土曜日22時ごろに投稿する予定です。

 宿題や課題で忙しく、投稿できないこともあるかと思います。ごめんなさい。


Twitterを始めました。小説のネタになりそうな話や簡単なイラストなどを投稿しようかと思っています。初めに言っておきますと絵は下手です。中学の美術の成績で5を取ったことがあります。10段階でね‼

Twitterには僕のプロフィールや近況ノートからとんでいただけると思います。


こちらの小説も書いています。興味があればどうぞ!

https://kakuyomu.jp/works/1177354054921425988

タイトル:reincarnate

ジャンル:異世界ファンタジー

キャッチコピー:世界が変わっても「――」に会えるのか、「――」は誰なのか


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