皇都第一中学校の生徒会選挙3
「礼儀の知らない生徒がいたものね。あなた、名前は?」
その男子生徒の態度に不快感をあらわにした美咲が聞いた。
「俺の名前は細川信也、生徒会に選ばれる者の名前だ。覚えとけよ」
「誰があなたみたいな人に投票するか」
「そう言うことができるのも今のうちだぜ」
「はい、みんな静かに~」
信也と美咲の言い合いは教師が入ってきたのでいったん中断した。真面目そうな雰囲気を持つ、比較的若い教師だ。黒い髪をポニーテールにまとめている。
「今日からみんなの担任を務める津田久子といいます。わからないことがあれば何でも聞いてください」
「はい!」
津田のその言葉に対してさっそく美咲が手を挙げて質問をする。
「生徒会選挙はいつ行われますか?」
「そうね、みんなも気になっているわよね。では生徒会選挙について説明しましょうか」
そして津田は黒板にまずそれぞれの役職を書き始めた。
「そもそも生徒会とは生徒が自治する組織のことを指します。学校の行事などをある程度自分たちの采配で決めたりすることができますね。どのように生徒会の役員が選ばれるかというと、まずクラス内で学級代表を選ぶ選挙を行い、選ばれた生徒が生徒会の役職に立候補することができます。一年生がなれる役職は庶務ですね。ほかに生徒会長、副会長、書紀、会計などがありますがこれらは二年生にならないと立候補できません。そして選挙がいつ行われるかについてですが、詳しい日程は後ほど話しますが四月中には学級代表を決め、生徒会選挙は五月に行われる予定です」
津田は生徒会を知らないという千代の声が聞こえていたのか、選挙のことだけでなく生徒会そのものについてもしっかりと説明をしてくれた。
「だそうだ。わかったか千代」
「……気安く下の名前で呼ばないで」
「かわいい顔して怖えな~、今なら俺のものにしてやるぜ」
その後、千代は信也を無視し会話をすることはなかった。
その日、学校は授業がなく、担任の津田が簡単な挨拶と学校に関する説明をして終わり、千代が帰る支度をしていると美咲が声をかけてきた。
「一緒に帰ろう!」
「うん!」
その道中、美咲はポツリポツリと話し始めた。
「私はお姉ちゃんみたいな立派な政治家になりたい。そのためにも今回の選挙に立候補して何としてでも勝ちたい」
そんな言葉を聞いた千代は美咲に協力することに決めた。
「そっか。じゃあ私手伝うよ。あんなのが当選したら嫌だしね」
信也の口ぶりからしておそらく彼も立候補するつもりなのだろう。負けるわけにはいかない。
「ありがとう!」
◇
生徒が全員帰った一年一組の教室に残っていた津田は小さい声でつぶやく。
「あの子が細川信也君か……。きちんと導かなきゃ」
津田はそう誓うのだった。
◇
*この作品はフィクションです。
* * *
まだしがない学生のw-Akiです。つたない文章ですが読んでくださってありがとうございます。訂正した方が良い箇所がございましたらアドバイスをもらえると嬉しいです。
皇国の清水秀二は毎週土曜日22時ごろに投稿する予定です。
宿題や課題で忙しく、投稿できないこともあるかと思います。ごめんなさい。
Twitterを始めました。小説のネタになりそうな話や簡単なイラストなどを投稿しようかと思っています。初めに言っておきますと絵は下手です。中学の美術の成績で5を取ったことがあります。10段階でね‼
Twitterには僕のプロフィールや近況ノートからとんでいただけると思います。
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