第二章 皇都第一中学校の生徒会選挙1
千代が秀二の家で暮らすことになってしばらく経ったある日の朝のこと。
「千代、話がある」
秀二が家事をしていた千代を呼び止める。
「何ですか?清水さん」
「学校に通わないか?うちは子どもを学校に通わせないほど常識がないわけじゃない」
この秀二の言葉に最も驚いたのは千代だ。当然だが学校に通うには授業料を払う必要があり、秀二は常識と言ったが数日前に拾ってきた見ず知らずの少女のために授業料を払うなど普通は考えられないことだった。
千代は思う。もしかするとこの秀二という男は……。
「あら、いいわね~。若い子はたくさん学ばなきゃ」
秀二の言葉を聞いた文江もその言葉に賛成する。
「私が……学校に?」
「ああ、そうだ。詳しい話をするとだな。千代、お前は今年の四月から皇都第一中学校に入学する」
皇都第一中学校、それは皇国で最も有名な中学校の一つだろう。現在、この国を動かしている多くの人々が卒業した学校であり、またそのご子息、ご息女も通う学校である。もちろんすべての生徒がそのような人ばかりではないが。
「あの有名な学校に私が?」
「そうだ。千代にはこの家の養子として通ってもらおうかと思っている。ん?そうなると俺を清水さんと呼ぶのは少し変だな。千代も清水さんになるわけだし、気軽に下の名前で呼んでくれ」
「……」
「……そんなに嫌か」
千代の顔を見た秀二がいつもと同じ無表情なのにどこかさみしそうに見える表情でそう言った。
「いいわね~。ウチは男二人兄弟のむさくるしい家だったから、千代ちゃんみたいな女の子が欲しかったのよ~」
「なかなか言ってくれるな……。まぁそういうわけで母も承認済みだ。どうだ、通ってみないか?」
「でも私、もう何か月も学校に通っていません。そんな私がいきなりあの学校に通うなんて……それに家事も……」
「学力面に関しては心配ない。千代が通い始める四月までの残りの約二か月の間に、時間がある限り俺が教える。家事も学校から帰ってきてからでいい。千代が来る前だって別に生活はできていたし。それでもどうだ?」
ここまで言われて千代に断る理由などなかった。
「通ってみたいです!通わせてください!」
千代ははっきりとそう答えたのだった。
「うん、それがいいわ『ごめんください』あら、どなたか来たみたいね」
「私が出ます」
千代はそう言って玄関に向かった。
「はい、どちら様で――」
扉を開けた千代は途中で言葉を失った。
扉のその先には数日前に自分が殺そうとした飯田栄蔵その人が立っていた。
*この作品はフィクションです。
* * *
まだしがない学生のw-Akiです。つたない文章ですが読んでくださってありがとうございます。訂正した方が良い箇所がございましたらアドバイスをもらえると嬉しいです。
皇国の清水秀二は毎週土曜日22時ごろに投稿する予定です。
宿題や課題で忙しく、投稿できないこともあるかと思います。ごめんなさい。
Twitterを始めました。小説のネタになりそうな話や簡単なイラストなどを投稿しようかと思っています。初めに言っておきますと絵は下手です。中学の美術の成績で5を取ったことがあります。10段階でね‼
Twitterには僕のプロフィールや近況ノートからとんでいただけると思います。
こちらの小説も書いています。興味があればどうぞ!
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タイトル:reincarnate
ジャンル:異世界ファンタジー
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