雪の降る暗い日に4

翌日、二人は早朝から秀二の家がある皇国の首都、皇都から北に向かって走る列車に乗り込んだ。

 千代は服こそみすぼらしいままだが、髪型はショートボブできれいに整えられたおり、昨夜の姿は影も形もないと言っていいだろう。

「……」

「……会話がないな。信用されていないからか」

 家を出てから列車に乗るまで、二人の間には何一つ言葉が交わされることはなかった。

「私を助けてどのような利点がありますか」

 今日初めて千代が秀二に言った言葉がそれだった。口調こそ丁寧だが態度はであったころから変わらない。どうやら何かしら助けた理由が必要なようだ。

「ああ、千代には働いてもらう」

「そうですか。どこで働けばいいですか。炭鉱ですか?」

 炭鉱が劣悪な労働環境であるということは皇国のほとんどの人間が知るところだ。

「ちがう。お前は俺をいったいどんなにひどい奴だと思っている」

「飯田の悪事に手を貸す議員で――」

「よくわかった。お前が働くのは俺の家だ。今は母の体調がよくない。俺は仕事で家にいない。だからお前を家政婦として雇う」

 一通り千代を助けた理由を述べた秀二。もっとも今考えたものだが。

「文江さんは確かに体調がよくないように見えました。そんな人に昨晩、私のところに食事を持ってこさせたりしますか。あんな仕事はやめて家のことを手伝ってはどうですか」

「俺が千代のところに食事をもっていったとして、食べるか?」

「……食べませんね」

「だろう?」

「手段を選びませんね」

「あと仕事についてだが、今やめるわけにはいかない」

 千代の質問にそう答えた秀二だったが、千代にはまだまだ聞きたいことがあるらしい。

「文江さんには他に家族はいないのですか」

「父はまだ俺が小さいときに戦争で亡くなったそうだ。兄は――」

「二年前に……」

 秀二の答えにそう自ら続きを答えた千代。

「……まあ、そういうことだ。精神的にかなりきたみたいであれから母の体調が悪くなった。というわけで家事は頼んだぞ。さて、目的の駅に着いたし降りるぞ」


 ◇


 北の田舎町にある駅に二人は降りた。そこから千代の家までそう長くはかからなかった。

「人は……見当たらないな。みんな夜逃げでもしたのか」

 周囲に人は見当たらない。ところどころ穴の開いた家に人の気配はなかった。

 そんな中

「さっちゃん!」

 千代が道端に倒れている少女を見つけた。


*この作品はフィクションです。


* * *

まだしがない学生のw-Akiです。つたない文章ですが読んでくださってありがとうございます。訂正した方が良い箇所がございましたらアドバイスをもらえると嬉しいです。

 皇国の清水秀二は毎週日曜日0時ごろに投稿する予定です。

 宿題や課題で忙しく、投稿できないこともあるかと思います。ごめんなさい。


Twitterを始めました。小説のネタになりそうな話や簡単なイラストなどを投稿しようかと思っています。初めに言っておきますと絵は下手です。中学の美術の成績で5を取ったことがあります。10段階でね‼

Twitterには僕のプロフィールや近況ノートからとんでいただけると思います。


こちらの小説も書いています。興味があればどうぞ!

https://kakuyomu.jp/works/1177354054921425988

タイトル:reincarnate

ジャンル:異世界ファンタジー

キャッチコピー:世界が変わっても「――」に会えるのか、「――」は誰なのか


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