雪の降る暗い日に3

お父さん……お母さん……私、死んじゃうのかな)

 夢の中を少女はさまよう。

(短かったな、私の人生……)

 少女はふと、前を見ると彼女の父と母を見つけた。

(私もそっちに……)

そう思った少女は父と母に手を伸ばそうとする。

しかし彼女の両親は首を横に振る。

伸ばしたその手は両親のもとに届くことなく……

少女は温かな布団の中で目を覚ました。

「ここは……」

 目覚めた少女はあたりを見渡した。

 一言でいえばきれいな部屋だった。派手なものはないがそれでいてなぜか優雅さを感じる。

 少女の育った家とはとても比べ物にならない。

「あら、起きたのね。これ、食べなさい」

 そう言って優しそうな女性が部屋に入ってきた。年は五十代前半といったところだろうか。きれいな女性だが、どこかやつれているようにも見える。

 女性は少女に食事を出した。パンとスープというごく普通の食事だが、少女からすれば久しぶりの普通の食事だった。

「私は清水文江といいます。あなたの名前は?」

「……千代。宮下千代といいます」

「そう。千代ちゃんっていうの。あらあら、急いで食べなくてもいいわよ。ゆっくりお食べ」

 優しく文江と名乗った女性はそう言うがそれは無理な話というものだ。千代はすぐに食べ終えた。

 千代が食事を食べ終えるのを見てから文江は部屋を出た。「あの子、千代ちゃんって言うんだって。きちんと食べ終えたわよ」と誰かと話しているようだ。やがて文江と入れ違いに一人の男が入ってきた。

「あなたは……清水秀二!」

「目が覚めたようで何より。食事もきちんととったようだな」

「いったい何が目的でここに連れてきたの?はっ⁉まさか私の体が――」

 千代は両腕で自身の体を抱きしめた。

「いや、子どもに欲情するほど飢えてはいない。おい!脱ごうとするな!」

 珍しく少し焦った様子で秀二が千代を止める。

「じゃあ、なんで私をここに連れてきたの。清水秀二」

「行く当てのないお前を助けたのは俺だぞ。もう少し丁寧な口調で話してもいいと思わないか?」

「……なんで助けてくれたのですか。清水……議員」

「議員じゃなくて、さん、でいいぞ。まあ気まぐれだな。今までお前のように困っている子どもを見たことは何度もある。ただ……飯田に包丁をもって立ち向かったやつは初めてだったからな。印象に残ったのかもしれないな」

 そう理由を秀二は述べたが千代は納得していないようだった。

「まあ、とにかく行く当てがないならここにいて構わない。それとも一度、千代の家に行くか。思い出の物とか持ってきたい物の一つや二つあるだろう」

「……わかった」

 二人は一度、千代の家に行くことになった。

「その前に風呂に入っとけ」

「まさか……本当に私の体――」

「違う!今のお前の見た目がボロボロだからだよ。そのネタはもうやめろ!」



 ◇


 

*この作品はフィクションです。


* * *

まだしがない学生のw-Akiです。つたない文章ですが読んでくださってありがとうございます。訂正した方が良い箇所がございましたらアドバイスをもらえると嬉しいです。

 皇国の清水秀二は私情により来週から毎週日曜日0時ごろに投稿する日を変更します。ご理解の程宜しくお願いします。

 宿題や課題で忙しく、投稿できないこともあるかと思います。ごめんなさい。


Twitterを始めました。小説のネタになりそうな話や簡単なイラストなどを投稿しようかと思っています。初めに言っておきますと絵は下手です。中学の美術の成績で5を取ったことがあります。10段階でね‼

Twitterには僕のプロフィールや近況ノートからとんでいただけると思います。


こちらの小説も書いています。興味があればどうぞ!

https://kakuyomu.jp/works/1177354054921425988

タイトル:reincarnate

ジャンル:異世界ファンタジー

キャッチコピー:世界が変わっても「――」に会えるのか、「――」は誰なのか


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