雪の降る暗い日に2

もう立つ力すら残っていなかったのかもしれない。

「あのガキ!ビビらせおって!ぶっ殺してやる!」

 秀二の背後から飯田の怒りの声が聞こえてきた。

「総理が自ら手を下すような相手でもないでしょう。それにもうくたばりましたよ」

 秀二は怒り狂う飯田を止める。

「そんなことより早く店に入りましょう。総理」

「……そうだな。今日は今のことを差し引いても良い日だ。よし飲むぞ、君たち!」

 秀二にそう促された飯田は仲間を連れて店に入っていった。


 ◇


 店内では先ほどの少女と秀二の件が話題になっていた。

「秀二君が士官学校にいたのは知ってはいたが、実際に見てみて改めてその強さがわかったよ。訓練された動きというのはやっぱり違うな。はっはっは!」

「恐れ入ります」

 食事が始まり、飯田の機嫌はすっかり元に戻ったようだ。

「これならボディーガードもいらないかな」

「いざ、という時は私がお守りしますよ」

「おお~!それは心強い。もっと飲みなさい、秀二君!」

 しばらくして、一通り食事を楽しんだ秀二は席を立つ。

「ん?秀二君どこへ行くのかね?」

「すみません総理。実は仕事で――」

「それなら仕方がないな。頑張ってくれたまえ」

 食事中の飯田を置いて先に自分だけが帰るなどこの場にいるいかなる大臣もできないだろう。

 これは飯田から信頼され、仕事ができると思われている秀二にしかできない芸当だ。

 秀二が言葉を言い終える前に店から出ることを認められるあたり、よっぽど信頼されているようだ。

 一足先に店を出た秀二はまだ店先に倒れている少女に近づく。

 この寒さだ。雪も降っている。弱った少女など放っておけば死んでしまうだろう。

 それにこのままだと再び少女は飯田の目に留まってしまう。

 今は機嫌を直してはいるものの、そうなってしまえば乱暴をしないとも限らない。

 秀二は少女を背負い帰路に就いた。


 ◇


*この作品はフィクションです。


* * *

まだしがない学生のw-Akiです。つたない文章ですが読んでくださってありがとうございます。訂正した方が良い箇所がございましたらアドバイスをもらえると嬉しいです。

 皇国の清水秀二は毎週水曜日0時ごろに投稿する予定です。

 宿題や課題で忙しく、投稿できないこともあるかと思います。ごめんなさい。


Twitterを始めました。小説のネタになりそうな話や簡単なイラストなどを投稿しようかと思っています。初めに言っておきますと絵は下手です。中学の美術の成績で5を取ったことがあります。10段階でね‼

Twitterには僕のプロフィールや近況ノートからとんでいただけると思います。


こちらの小説も書いています。興味があればどうぞ!

https://kakuyomu.jp/works/1177354054921425988

タイトル:reincarnate

ジャンル:異世界ファンタジー

キャッチコピー:世界が変わっても「――」に会えるのか、「――」は誰なのか

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