第1話 ドッカーン☆ 誕生! マキナスパーク!!④
マキナとキッカが二年金剛組の教室に到着すると、既に他の生徒達は揃っていた。
「桐立さん、おはよう!」「おはよ、生徒会長」「キッカちゃんおはー」
二人は皆と顔を合わせ挨拶を交わす。全員が仲良しで理想的なクラスだ。
「ごきげんよう、櫻田さん。それから……」
ズカズカと巻き髪の生徒が二人に歩み寄る。
「桐立さぁーん! 今日は随分と”ご”ゆっくりの”ご”登校ですのね。服もホコリで汚れてますし、髪も、ハァっ、ぼさぼさ。ふふっ、お寝坊でもなされましたか? 生徒会長。」笑みを含みながら、極僅かなマキナの失態をつつき挙げる。
「高松(タカマツ)さん、おはよぉ〜。 これはホコリじゃなくて、ワンちゃんの毛だよ〜」マキナがこき下ろされて我慢ならないキッカがやや的外れなフォローを入れる。
「まッ、そうですの!? わたくしは動物アレルギーでーー!」高松は三度連続で淑やかにくしゃみをした。決して唾を飛ばさず、鼻水は垂らさず、啜らず、すかさずちり紙で拭き取った。
「ーーすのでッ」「ーー決してッ」「ーー近寄らないでいただァーーッ」「ーーけますことォッ」くしゃみに遮られながらも嫌味を言い切った高松は、淑やかな立ち居振る舞いを崩さぬまま自席へと引っ込んでいった。
「うん、そうするよ。高松さん、おはよう。」
くしゃみを堪えて震える高松の背中に、マキナは笑顔で挨拶を返した。
「もーうっ! 毎朝マキナちゃんに嫌味言ってくるんだもん! 嫌になっちゃう!」普段は温厚で何をされてもにこやかなキッカだが、大親友のマキナをバカにされるのは許せなかった。
「まあまあ、あれで結構いいトコあるんだよ、高松さんって」
高松メイラ、空空学園女子高等学校二年翡翠組学級会長。父は空空町どころか、国内に知らぬ者のいない程の大企業のCEO。その寵愛を受ける責任として、誰よりも華やかで美しく振る舞うべく、日々自己を磨き続ける努力家。マキナはそんな人生に初めて現れた己の先を征く存在であり、興味に絶えないため、毎朝ちょっかいを出してしまう。母は専業主婦。
「努力家なのは知ってるけどさあ、わざわざ隣のクラスまで来て、あんなこと言うなんてわからないよ。楽しい話すればいいのにー」キッカはずっとへの字口だ。
「高松さんにも色々あるんだよ」マキナは小さくため息を吐きながら答えた。
「やさしいなぁ、マキナちゃん」
父に稽古を迫られ、キッカとバスに乗り、学校に着けば皆と挨拶を交わし、高松の嫌味を聞き流し、キッカをなだめる。毎朝のルーティンワークを終えると、丁度ホームルームの始まる頃合いとなる。
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