第1話 ドッカーン☆ 誕生! マキナスパーク!!③
「あれ、マキナじゃん。」マキナがいつも腰掛ける最後部の座席には、ナヲがどっかりと腰掛けていた。
「ナヲ……」「ナヲちゃーん! ひさしぶりぃ〜」
「キッカ先輩、おはようございます」ナヲは浅く会釈をした。
「うん、おはよう〜。あれ、マキナちゃん?」
マキナは、運転席の後ろの席に腰掛けた。
「またねぇ、ナヲちゃん〜」
キッカもマキナに続いて、その隣に腰掛けた。
なぜ口数少なくナヲの前を去るのか、その近くに腰掛けないのか、キッカは疑問を抱いたが、それをわざわざ口に出すほど愚かではなかった。それだけにいたたまれなくなったキッカは、違う話題を展開しようと努めた。
「あ、マキナちゃんは進路ってきめた?」高校二年生らしい無難な話題だ。
「ん、やっぱり空空技術大学かなぁ」
空空技術大学は、特に機械・ロボット工学や人工知能、スーパーコンピュータの研究において目覚しい成果を残している、国内でも指折りの研究機関で、マキナの母の母校でもある。
「マキナちゃんは技大かぁ。頭良いから、絶対行けるよぉ。いいなぁ〜。やっぱり、矢生教授がいるから?」
「そうだねぇ」
矢生教授、その名を矢生マモル。空空技術大学の頭脳と揶揄され、特に人工知能特化のスパコン研究に力を入れている。過去に二度世界最高の演算能力を持つスパコンを開発するも、その度他国研究機関に塗り替えられる。それでも負けじと去年、圧倒的なまでに性能を飛躍させたスパコンを完成させ、今日に至るまでその地位は揺るぎない。現在はスパコンの小型化プロジェクトを推進している。
中学時代に彼の講演に感銘を受け、マキナは人工知能分野に興味を持つようになった。それ以来、度々キッカと二人で矢生研究室を訪れては、試作段階の人工知能と戯れている。
ハード面にも相当明るい矢生教授なら、きっとロボット犬も直してくれるだろう。
「キッカは、獣医?」
「うん〜。今飯(イマママ)大の獣医科」
今飯町は空空町の隣街だ。それでも、空空技大から今飯大まではかなりの距離がある。
「大学にいったら、ついに私たちも離れ離れかぁ……」
「うんー……空空町に獣医科は無いからねぇ……寂しくなるなぁ」
暗い話題を避けたつもりが、なんだかしんみりしてしまい、それから両者口を開かないまま、バスは学校に到着した。
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