「『ラックポイントバッファー』 超不運の姫をスキル【幸運値付与】でコッソリ助けます」
〇本文URL
https://ncode.syosetu.com/n0353gl/24/
〇読みながら感想
おぉ、がっつり異世界転生ですね。
あらすじだと、超絶不幸の例えに「二浪」が入ってるのはちょっと引っ掛かりましたが……
では本文に入っていきます。
物語は最初にクライマックス付近を持ってくる手法でスタート。
結構しっかりした地の文ですね。
いきなり複数のネームドキャラが出てきたのでちょっと混乱しました。
>中古の皮鎧を着た地味な荷物持ち。それが俺、うっかり殿ことリュウタ・ハチノヘだ。
姫にタメ口をきく荷物持ち。最初は誰もが驚く。
武術も魔法も秀でるところもなく、知識もないこの俺がこの場に居られるのは、どん底だった姫と出逢い苦楽を共にしたから……ということになっている。
しかし、真実は違う。
俺は異世界転移者だ。スキル「幸運値付与」を密かに使ってこっそり手助けをしてきた。
この情報の出し方は手慣れている印象を受けます。
「うっかり殿」という分かりやすい代名詞も良いですね。
> 運命とは幸運判定(ラックチェック)の繰り返し。この世界の隠れた仕組みだった。
ちょっとTRPGっぽい設定。
あんまり「なろう」のお約束には詳しくないのですが、異世界系って急にゲームのような概念が出てもOKなのでしょうか。
その後は幸運バフを受けた王女の従者が8万の兵に号令をかけ、士気が高まったのち、次回から過去に戻って本編に入るというところで終了です。
〇気になる点
「時系列を組み替えて未来のことから始める」というのは、海外ドラマでよくある手法ですね。今回は場面切り替えによる混乱を避けるため、一話を丸々使ったといったところでしょうか。
どうやら追放された王女が戻ってきて復権して、さらに他国へ戦争を仕掛けてる……という状況のようですね。
しかし、ここは王位奪還の場面ではいけなかったのでしょうか。
あらすじの締めも「元の地位に戻してやる」だったので、てっきりそこを持ってくるのだと思ってました。
相手国に特別すさまじい因縁があるかというと、現時点ではそういった理由もありませんし、やや読者が盛り上がりにくい場面を選んでしまった感があります。
そして、「幸運値」をパラメータ化するということは、漠然とした概念をある程度分かりやすくする意図があると思うので、例えば「200を超えると飛んでくる矢が当たらなくなる」のように、具体的に役に立つ場面の描写が欲しかったです。
今のところ一番キャラが立っているのがローズで、方向性は悪くないと思います。
ただメインは姫様ですからね。
姫様の魅力をまず読者に伝えて欲しいです。
〇総評
地の文を見る限り、筆力はある方だと思います。
ただ幸運値上昇という、ある意味アバウトな概念だけで読者を引き込むには火力不足感が否めません。
プラスアルファが欲しかったです。
ありがとうございました。
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