「落日の刻、影は彼方へ」
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〇読みながら感想
続いては第一会場の一番目、つまり全作品から見ても先頭打者の「落日の刻、影は彼方へ」です。
純文学の匂いがぷんぷんしますね。実は僕、自分で生むのはエロばっかりですけど読むのは純文学が好きなんですよね。
それでは参りましょう。
物語は「蜃鬼」と呼ばれる巨人と共生する田舎町に、東大生の主人公が小説の題材のため取材に訪れるところから始まります。ここはあらすじにある通りですね。
>「この町で生まれ育った私からすれば、蜃鬼なんてその辺にある大きな電柱のようなものなんですがねえ。まあ、仕事の糧にして頂ければ幸いです」
これはその町にいる駅員さんの台詞ですが、当たり前にあるものとして電柱を用いたのは読者フレンドリーでいい感じです。それにしても主人公の北条昴くん、どうやらコネを使って国の許可を得ているようなのですが、一体どういうコネなんでしょうね。
> ――蜃鬼。
幻影の鬼、黒き巨人、だいだらぼっち。
言いようは様々だ。
出ましたね、肝心の蜃鬼。
あらすじの所感から「シン・ゴジラ」のラストのように、いつ暴走してもおかしくない存在と綱渡りの共生をしているイメージがありましたが、今のところ何かとんでもないことをしでかした描写はありませんね。
>これまでに蜃鬼が人に危害を加えたという記録もない。逆なら長い歴史で幾度とあったらしいが、幻影の鬼らしく効果はなかったと聞く。
>こうして実物を見ても、どこか蜃気楼のようだ。
ここ、裏を返せば何かをトリガーに実体を持ってしまった瞬間ヤバいわけで。
ちょっと不穏な予感がしますね。
そして場面は進み、あらすじにも登場していたうずめちゃんの登場です。
> 白のタンクトップにショートパンツ。凝視せずともブラを付けていないのは明白だ。
あどけなさが残る顔立ちだが立派なボディを持つ彼女に、僕は表情を崩さず下心がないとアピールするのが精一杯であった。
おほっ……最高やん(語彙力喪失)
特に巨乳でタンクトップだからちょっと屈んだだけで魅惑の三角地(ry
冷静に読むと、田舎が舞台というのをきちんと意識した服装を選んでるのが偉いと思います。読者の想像を掻き立てられてますね。
最後は北条君がお泊りする部屋の説明をうずめちゃんから受け、こちらをじっと見つめているように感じる蜃鬼の不気味さを感じながら終了です。
地元民でないからこそ働く第六感でしょうか。気になりますね。
〇気になる点
これは良い点でも悪い点でもあるのですが、うずめちゃんに艶がありすぎる!
端的に言えばスケベですねぇ!!
僕のように性癖ガン刺さりの人は嬉々として読み続けますが、物語全体のトーンで見ると明らかに浮いてるんですよね、こう、なんていうか刺激的過ぎて。
>顔を上げるとうずめちゃんのお尻が目に入る。
前を向くとすらりとした綺麗な脚が。
必然的に足元を見ながら登ることになり、安全に二階へたどり着けた。
こことか特にその傾向があります。
僕は歴史小説も嗜んだりするのですが、そこでは外見描写について性癖も押さえつつトーンを合わせたものが多いので、もう少し比喩も交えてほんのりと仕上げた方が良かったかもしれません。
例えば、直接的なスタイルについてではなく、首筋を流れる汗だけに焦点を当てるとか……すいません余計官能的になってしまったかも。
後はタイトルにある「落日」の通り、影が無くなる夜に一体何が起こるのか。
幻影は本当に幻影のままなのか。
そしてうずめちゃんは起動エンジン的なナニかになってしまうのか。
そういった今後の展望に期待が持てます。
特に構成に不備は感じませんでした。
〇総評
全体として期待感を煽られる良い書き出しでした。
強いて言うなら、最後の引きが若干普遍的というか、がっつり殴られる感じではなかったのですが、総合的な上手さで今後も読んでいいかなと思える作品です。
あと何よりうずめちゃんが僕のドストライクです()
ありがとうございました。
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