第5話 今日って厄日のはず。

スキー学習が始まり、俺はA班で上手い人達のグループで滑っていた。


「登ー、一緒にリフト乗ろうぜー。」


こいつは高田 慎太郎。

バスケ部のエースでイケメン。

スポーツ万能で成績は普通でおちゃらけキャラだ。


「いいよー!」


二人でリフトの席に腰を下ろす。


「登、1つ相談あるんだけどさ。」


「どうした?」


「俺、彼女いるじゃん?

最近、なんか淡祭りの花火を恋人同士で見ると別れるって有名じゃん。」


「あー、まぁよく聞くな笑

それがなしたん?」


「俺さ、彼女と見に行く約束しちゃって

どうしよう。辞めた方がいいかな?」


俺はこいつの純粋にお腹がよじれるほど笑いそうになったがめっちゃ頑張って堪えた。


俺は、ぱっと頭に出てきた言葉を慎太郎に掛ける。


「あのな、淡祭りで別れるって有名なのは淡祭りがあるから彼女欲しい、彼氏欲しいって言ってるだろ?

あーゆーやつらは、祭り目的で付き合ってるから祭りが終わったら気持ちが萎えて

すぐ別れるから、お前はそうじゃないだろ?だから大丈夫だよ」


「あ!よかった!

俺、お祭り目的じゃないから!」


同性だが、可愛すぎてキュンとした笑


頂上に着き、いよいよスキー授業も終わり頃。


最後の二時間ほどは自由に滑っていい時間になる。


俺は、桐島 輝と上田 大義、響 良樹と共に自由行動を過ごした。


この中では俺が1番上手かったので

みんなの行きたいコースに付いて行っていた。


次どこ行くー?なんて話していると輝が急なコース行こう!と言い出した。


俺は全然滑れるが他の人が滑れるか心配になりながらも、いいか。と思い了承した。


俺も急なコースを滑るのが楽しくてある程度下まで降りて、降りてくるのを眺めようと思いスピードを出して斜面を下って行った。


ここら辺でいいかと思いブレーキをかけ、ゆっくり止まる。


そして、まだ上にいるであろう友人達を眺めようと上を見る。


すると、デコボコした斜面で身体が宙に浮いてこっちに向かってくる輝の姿が見えた。


そこからは、避ける隙もなく俺に突進してきた。俺は倒れ込んだ。


俺覚ますと、大義と良樹、輝がみんな焦っているのが見えた。


俺は立ち上がり、大丈夫。と言った。


すると、良樹が焦った声色で


「登、頭からめっちゃ血が出てる。」


俺は辺りにある雪をかき集め、良樹が指を指す所に雪を当てる。


真っ白な雪が赤く染っているのが見えた。

咄嗟の判断だったが、俺は早く降りて見てもらうと伝え、斜面をスピード出して降りていった。


友人達も後ろに付いてきてくれて、スキー場のハウスに入った。


店員さんに俺が声をかける。


「すいません。ちょっと怪我しちゃって。」


店員さんはかなり出ている血を見て焦ったのか直ぐに医務の人を呼んでくれた。


医務の人に治療を受けて、応急処置で大きなバンソーコーというのか、テープの様な物を貼られた。


医務さんはすぐに病院に行ってください。

縫う事になると思います。と言った。


俺は今まで大した怪我をしたことも無いので縫う事に恐怖を感じた。


すると、スキー場内に響き渡る呼び出しの後にすぐに担任の先生が来て、病院へと連れて行ってくれた。


先生の車の中で


「お前、お母さんに電話出来るか?」


「あ、掛けてみます。」


LINEの通話を開き、通話のアラームが3回程鳴ったあと母が出た。


「もしもし?どうした?」


「あ、もしもし。スキー場で怪我して頭から血が出てるから病院行く。」


「はぁ?何言ってんの?」


母は俺が冗談を言っていると勘違いしているようだった。


「本当だって。ちょっと待ってね、先生に代わるから」


「うんっ?え、うん。」


ここでようやく本当だと気づいてもらえた。

うん。俺って信用ないのか?ってめっちゃ思った。笑


「担任の○○と申しますが、竹島くんが同じクラスの子と衝突し、頭部に怪我をしてしまったようなので病院に行きたいのですが。

普段使っている病院とか有りますか?」


母の声は聞こえないが、俺が大きな怪我した事ないので、ないと答えているのだろう。


担任の先生が適当な病院に連れてってもらい。母とも合流した。


医者の先生に傷を見てもらう。

医者の先生はコードブルーに出てくる藤川先生の様な感じだった。


傷を見た先生はこう話しかけてきた。


「えーとね、傷開いてるから2つ選択肢あるんだけど。

1つ目縫う

2つ目はテープで固定してゆっくり傷が治るのを待つ。」


医者の先生はおっとりした感じで2つの手術法のメリット、デメリットを教えてくれた。


医者の先生は君が決めていいよと言ってきた。母が答えようとすると、医者の先生が

僕に話しかけた。


「君はもう、高二だろ?自分で決めるといいよ」と言った。


僕は、すぐに答えた。


「じゃあ、縫う方で」


すると先生が"よく言った!"と言ってくれた。

周りの看護婦さん達が拍手してた。


え、なにこれ出産おめでとうみたいな雰囲気。と思いながら、ベットに寝転ぶ。


手術する時ってライトで照らされるんだけどあれがめっちゃコードブルーみたいに見えて先生に


「ライトめっちゃコードブルー見たいですね!」


って縫ってる最中だが話しかけた。


「あ、そう?

雰囲気出すために"メス"とか言ってみる?笑」


「え、メスって開胸するやつですよね?笑」


なんて話してたら、先生や看護婦さん達が笑ってた笑


手術も無事終わり、今度抜糸するからおいでと言われその日はそれで終了かと思いきや


輝から珍しく真面目な文面でLINEが来た。

"本当にごめん。登のお母さんとかに謝ってたって伝えて欲しい"


いや、親もなんも全然気にしてないし笑ってるわって送った。

まぁ、実際親笑ってるし。


輝の話を母としていると新しい通知が。


坂本さんから"大丈夫?"とLINEが来た。


いや、普通でしょみたいに思うかもしれないけど普段ゲームやる時も俺から誘ってたしLINEも俺からだったから

もう、すごく嬉しかった。


その後帰ってからはゲームではなく通話した。


話が少し戻ってしまうのだが、俺は普段眼鏡掛けてるのだが

スキーやスポーツの時は眼鏡が邪魔だったのでコンタクトをしていた。


でも、その日はたまたまコンタクト忘れて眼鏡のまま滑ってた。


結果的に眼鏡は折れるはずのない所が折れていた。


折れた場所を見るとコンタクトだったら目に直撃していたので奇跡ってあるんだなと実感した。


結衣との関係はこれからもっと深まっていく。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る