第13話 九龍城 九層 九龍(クーロン) FINAL BOUT
いよいよ、この時が来た。
仮面の戦士…ジェネシス。
「まさか小鈴が倒されるとはな。予定外だ。少々見込み違いだったか」
「ジェネシース!!よくも父さんや母さんを!小鈴を。師匠を!!
お前だけは絶対にゆるざんッ!!」
「しかし、小鈴戦で体力が著しく消耗しているように見えるぞ。果たしてその身体で私と闘えるのかな」
「うっせぇ!!!!」
誰からともなく鈴麗ッと叫ぶ声がホール全体に響き渡る。
一気に段差を駆け上がり、跳躍する。
「オラッ!!」と空中で反転し蹴りを放つ。
蹴はあと一歩届かずに片腕で受け、いなされる。手摺が木っ端微塵に砕け、石壁へと背がブチ当たる。
「ジーザス!敵を目の前に頭に血が登ってやがる」
「あのままでは」
「勝てない…あまりに体力を削りすぎている」
「いや…あの眼を見ろ」
「あの諦めない淀みない闘志。ボク達が身をもってしっているハズだ。鈴麗なら必ずやりとげる」
足が重い。ただ、ふっとばされただけじゃねえ。ボディブローを狙われた…か。
こりゃ骨の一本二本もってかれちまったか…
「ガハッ」
―吐血―
「フンッおやおや、もう終わりかね」
「余裕ブッコいてられんのも…いまの内だぜホラ」
「なにッ!?」
ジェネシスの仮面に亀裂が走り抜け、
顔が顕になる。
女!!!!一同驚愕する。
「ほう…あの僅かな瞬間に
私に撃ち込んでいたというのか」
(ああ…空中で風圧を纏わせたからな)
ジェネシスがユックリとコッチへ近づいてくる。
「なぜ弟を、家族を殺したのか教えろ!」
「お前の弟はニュー世代とほぼ変わらぬ能力を備えていた。ソレが私には必要だったのだー!!」踵落としがウチの肩に打ちおろされる。まろびつ転びつ身体はホールへと墜ちる。
「そう…何が…何がニュー世代だ!!女がのさばり過ぎたこの世界を元の形に戻さねばならない。私自身、女に生まれついた事に虫唾が走ってならぬ。同族嫌悪とでも言おうか。
その為にはオールド世代の復興が必要だ。
世界を反転させるにはな」
「小鈴ならその可能性があったとでも」
「そうだ。世界を変えるための貴重な器を
発見した時、私は大いに喜んだよ。どうしてでも手に入れたかった。ジェネシス・バトルを主催したのも、表向きは軍備共存を謳ってはいるが…【女性性】に勝てる【男性性】の研究資料の為だったのだ」
「どうして!どうしてソコまで女性である事を忌み嫌う」
頬をしたたか殴られる。痛打にうめく。
「うるさい」
見るとジェネシスも肩で息をしている。
「攻撃が効いてる」
「ちっとも手を出してなんかいませんわ。むしろ有効打をきめられているほど」
「違う。ジェネシスの心に効いてるんだ」
ジェネシスの声が轟く。
「オールド世代をトレーナーとして設定させてもらう中で、アメリカの選手には小鈴を送り込んだ。果たしてニュー世代の男性性が
ニュー世代の女性性に果たして通ずるのかのいわゆる見極めとしてだ。
あまりに強すぎる相手に小鈴を付けてしまうと修行の立ち合いとはいえ、殺されかねんからな。ソコでミヒェルにではなく、ガン・トレットに付けることにしたのだ。
3年もの年月がかかったが彼は見事その条件をクリアしたのだよ。姉ならば嘆くのではなく、弟の成長ぶりを喜んでやれ」
石壁に再び叩きつけられる。
「お前の言い分はよおく、わかったよ。
でもソレがウチの弟を攫ってやり遂げていい道理はどこにもねぇ!!それどころか
神楽をはじめ、他の女の子も巻き込みやがって。勝手な事言ってんじゃねえぞ」
その時
「おお〜、小鈴。目を冷ましたか」と
ジェネシスが小鈴に歩みよる。
「あの女を殺れッ」
小鈴は微動だにしない。
「おい!どうした。殺れといっているのが聞こえんのか」
「小…ぎゃぁぁぁぁ」
その瞬間、絶叫が城を覆った。
小鈴がジェネシスの黒衣に、はらわたに
渾身の一撃が刺さる。夥しい出血。
めり込んだその腕を支えながら
「なるほど…私が願っていた事でもある。
男に手をかけられて死ぬ…るなら本望だ。
私の愛した男は…男であるが故に命を墜とした。オールド世代であれば死ななかっであろう…な」
と、そう言い残し。ジェネシスは窓際へと歩を進める。
「が、私もタダでは死なん。貴様ら諸々巻き込んで死んでやる」右手にはスイッチが握られていた。そのボタンを推し…
崩壊する天井。周囲は脆くも
瓦礫へと変わる。
小鈴は、またたく間に気を失い、ジェネシスの身体からその身が離れる。
ゴゴゴゴゴ…
揺れがおさまらない。
あとじさるジェネシス…
足場を失くし、身を投げる。
「鈴麗!!」
腕を取る。
「ふざけんな。死なせねぇ!死なせねぇぞ!!こんなんじゃ」涙が積を切ったように流れだす。
「フンッ」とウチの手を払いのけ、暗黒の海へと消えた。
「うわぁぁぁ」
ロンが抱きしめながら身を起こしてくれる「早く逃げた方がいい。皆ジェネシスの思惑通りに死ぬなよ。生きてこの城から帰ろう」
一同頷き、一龍までかけ下る。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます