第8話 九龍城 三層 三龍(サンロン)
続く扉をくぐる。また同じ景色が拡がる。
違いは目の前に人形兵器がいないこと。
カツカツと、自分の足音だけが奇妙に響く…
と、鈴麗はホールに写る自身の影の形が微妙に歪なことに気がつく。気配がない。
背後を獲られた。どうやら階層が上がるにつれ、敵のAIレベルも向上しているらしい。
背後から首元にナイフを突き立てられる瞬間、AKの硝煙が昇る。
人形兵器との間が離れた。
「フン…あたしの気配に気づかないようじゃ…アンタは三流だねえ。ねえ」と緑色ロングヘアーをなびかせながら、その長身痩躯の軍人娘が傍らの狼の喉をくすぐる。
「ミヒェル…」
「鈴麗、【あたしたちの】チームワークを見せれないのは残念だけどココは引き受けるわ。アンタは孤独じゃない、幸せを掴みな」
「ありがとな。必ず後で合流しよう」
ミヒェルが後ろ手を振ってよこす。
ゆっくりと起き上がる人形を前に
「さて…おやアンタは孤独なのかい?
その目には白い雪が吹雪いていることだろう。何、なんの心配もないよ。あたし達が盲を開いてやるよ鈴麗がしてくれたみたいに」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます