第2話 戦士に休息はない

 


  数分前の騒ぎがウソのように

会場はがらんどうとなっている。

否、人は居るには居る。骨組みやVR照射機材なども解体され幾人かで構成されている作業班により今まさに運び出されようとしている。四方を取り囲む客席だけが残された。もちろん客の姿などは一人もなく、更地に残されたウチ達は謳われる勝利者の姿とは程遠い。


  ミヒェル達が駆けつけてくる。

「優勝おめでとうと言いたいけど…」

「優勝が目的ではなかったですものね」

「しかし、最大の目的である人物と闘うことになるとは」

立ちすくんでいた身を起こし皆にふり返る。

 「いや、いいんだ。ココまで来た以上、どんな試練が待ち受けてても…逃げねえ。

師匠ならきっとそう言う。ウチもそう思うし」

「ありがとな。ガン・トレット、

シャルロット。ミヒェル」

「なんだ。そのよそよそしい態度は」

ミヒェルの問に返さず

「それに神楽、アイツもなんか利用されてただけみたいで可哀相だったな…今回ばかりは

ウチの問題だ。一人でカタをつけたい」

「そっそんな」

「いや、その通りかもな。でもユー。無理だけはしちゃいけないよ♪悩んだらミー達に相談してね」


「ああ。そうさせてもらうよ。

とりあえず、帰ってゆっくり寝てえな」


その夜―


 「それではッ!!鈴麗の優勝を祝ってカンパーイ♪」

「カンパーイ」

クラッカーが耳元で鳴り響く。ホール型のケーキにロウソク。火は何故かライフルから着火される。なんでも射出可能なのかその武器は…

グラスがピラミッド状に並べられコーラが注がれる。

ケーキがサーベルで人数分に分けられる。

チャッチャッチャッと喧しい。

手際が良いと思いきやあらぬ方向に切り取られたケーキが飛んでゆき壁にベチャッと潰れる。

「あ〜あ。やっちゃったよ。シャル」

「あれぐらいなら、まだ食べれる。戦時下なら貴重な食料源だ」

「ケーキだけに甘かったですわね」

と、何やらブツブツと言っている。


「お・ま・え・ら。寝させろーッ!!!!」











 

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