パーティ追放された最弱荷物持ち! 外れユニークスキルは、『神器級装備』を美少女化させて好かれまくるチートだったので、成り上がって世界最強を目指します!
第117話 3つの勘違い、2つの合わせ技、1つの結果
第117話 3つの勘違い、2つの合わせ技、1つの結果
「ハッ、よくもそんなハッタリをかませたものだ。威勢だけは褒めてやる」
「ハッタリじゃないよ。僕は君を倒すって言ってるんだ」
「ガキが……どいつもこいつも出来もしないことばかり言いやがって……!!」
ネクロスはさっきまで薄気味悪い笑みを浮かべていたが、僕の態度が癪に障ったようで、細い指で苛立ったように髪をかきむしった。
「だったらやってみろ! この私と戦え!!」
「言われなくても、やるよ」
僕は地面を蹴って肉薄し、ネクロスを剣で切り裂く。彼の胴体に×印の斬撃が走り、目の前で爆発が起こった。
煙が消えると、今までと同じように無傷のネクロスが姿を現す。今ので一回殺した判定だ。
「いいのかなあ、私はダメージを負えば負うほど強くなるんだぞ?」
「無駄口はいいから。続けるよ」
「チッ、ガキが……調子に乗るな!!」
今度はネクロスが挑発に乗って突進してきた。速さはやはり、上がっている。
「ミリア、行くよ!」
ネクロスが向かってきている間にリーシャからミリアに持ち変え、タイミングを合わせて横に薙ぎ払う。
朱色の槌がネクロスを捉え、彼の体を後方へ吹っ飛ばした。隕石が着弾したように、彼の体は壁にめり込み、再び爆発が起こる。
「これで7回!! 無駄なんだよ!!」
無傷になったネクロスは壁から這い出て来て、再び突進してくる。この方法ではいつまで経ってもネクロスを倒すことはできない。
しかし、僕は攻撃を続けた。神器たちを順に回し、彼に致命傷を与えていく。そのたびに彼の体は爆発して、無傷で僕に向かってくる。まるで脱皮を繰り返す蛇だ。
どれくらい戦っただろうか。しばらくネクロスを倒していると、彼が立ち止まってケタケタ笑い始めた。
「これで50回だ! 私は50回分強くなった!」
「数えてたんだ」
「そうだ! スピード、パワー、そして生命力! すべてが醜い人間を超越した!!」
ネクロスは狂喜乱舞し、顔をガリガリひっかいて笑った。
「……なのに。なぜお前は絶望しない? もうお前に勝ち目などないのだぞ?」
不満げな表情と、訝しげな視線。ネクロスはただ唯一、僕の存在が気に入らないようだ。
「わかっているのか? 私は何度死んでも蘇る。復活するたび強くなる。お前は体力がなくなって、いずれ私に一方的に殺されるということを!」
やれやれ、やっぱりわかってなかったのか。だったら説明してあげなくちゃなあ。
「3つ、見落としているよ」
「なんだと?」
ネクロスは気付いていないが、僕に勝つことはできない。そのことを説明するために、僕は人差し指を立てた。
「ひとつめ。君は50回死んで、強くなった。だけど、いつになったら僕を倒せるほど強くなれるのかな?」
ネクロスは口ごもった。自分でもわかっていないのだろう。
「50回も死んだのに、君は僕にかすり傷一つ付けられていない。おそらく、100回……いや、1000回死んでも無理だろうね」
「またハッタリか?」
僕は首を振って、もう一本指を立てた。
「ふたつめ。僕の体力が減るって言ってたけど……僕にはリーシャのスキルがある。だから、体力は常に回復してるんだ。だから、僕が体力切れになることは絶対にない」
ネクロスはごくりと生唾を飲んだ。ようやく自分の置かれた状況に気付いたようだ。
「そして、みっつめ。自分のローブをよく見てごらん」
「え――あああああ!!??」
ネクロスは慌てて顔を下げた。そして、目を丸くして叫び声を上げる。
彼のローブの胸の部分のほつれ。それは少しずつ大きくなっていた。最初はエリーが作った一本のほつれ。しかし、戦っているうちに二本、三本と数が増え、今では金貨一枚分くらいの穴が出来ていた。
「まさか――さっきから執拗に胴体を狙っていたのは!!」
「そういうこと。笑って上を見るのは大事なことだけど、ちゃんと前も見ないと、石につまずくよ?」
ネクロスの悔しそうな表情。見下している相手の策にハマって怒っているのだろう。
「こんな小さな穴がなんだ! 50回もかかってこんなに小さな穴が出来たくらいで粋がるな! それこそ、あと何千回かかったらタナトスを破壊できるかなあ」
「いいや、数回で終わるよ」
ニヤニヤとするネクロスにぴしゃりと言い放つ。僕はリーシャの剣先を彼に向けた。
「――ずっと考えていたんだ。戦闘中、神器を一個ずつしか見せられないのが残念だなって」
僕がもっと神器の特徴を理解しておけば、もっとたくさんの神器を一度に活躍させることができる。武器が大好きな僕にとって、これほどの幸福はなかった。
だから――出来るようにした。
「何を言っているんだ?」
「わからない? じゃあ、見せてあげるよ」
僕は剣をグッと握り、いつものように横に払った。ネクロスとの距離は5メートルほどあって、斬撃でもなければ攻撃は当たらない。
しかし、今回は違った。リーシャの剣身が伸びたのだ。まるで手品でも使ったように、数倍に伸びたリーシャは、ネクロスの胴体を真っ二つに切り裂いた。
「な、なんだと!?!?」
ネクロスを巻き込んで大きな爆発が起こる。煙が去った後、ネクロスは首を傾げた。
「なぜだ? その剣にそんな力はなかったはず!」
「確かにそうだね。一つの神器、ならね」
たしかにリーシャだけの力ではそんなことはできない。
だから、二つの神器の力を使ったのだ。
「二つの神器の合わせ技。これを使えば威力は倍――いや、それ以上だ。だから、あと3回もあれば邪神器は十分に壊せるよ」
「……さっきから聞いていれば!! たかだか武器が二本になった程度で、図に乗るな!!」
僕はバッグに手を突っ込み、ミリアを取り出す。そうだな、技名は――!
「<イリュージョナル
レティとミリアの力が合わさる。ハンマーを横に振ると、ミリアがぐにゃぐにゃと形を変え、ネクロスの体を叩きつける! トリッキーさと力強さを兼ね備えた一撃だ。
次はミリアとイスタの合わせ技だ。最速と最強の一撃。名付けて……。
「<ヴァーミリオン!!>」
イスタの能力で瞬間移動をしながら、ミリアを思いきり振るう。ネクロスの体はまるでバットにぶつかったボールのように吹っ飛ばされ、太陽に向かって一直線に飛ばされる。
ここからかなり距離があるな。だったら次は、イスタとリムだ!
ミリアからイスタに武器を持ち変え、思いきり弦を引く。生成された無数の弓矢には火・水・風・雷など、それぞれが魔法属性を宿していく。
「<
魔法属性を持った弓矢たちは、まるで魚が群れで泳ぐようにして真っすぐにネクロスに突進していった。もちろん、狙う場所は一か所、彼のローブのほつれの部分だ。
「うぐわあああああああああああ!!!!」
弓が着弾するとともに、上空で爆発が起こる。ネクロスの声が響いた。
数秒して、ネクロスが地面に叩きつけられる。彼はよろよろと起き上がった。
「まだ、まだだ……」
ネクロスは立って僕を睨んでいるが……もう勝負はついている。
ネクロスのローブは穴だらけ。何年も使い古されたようにボロボロになってしまっている。
次の瞬間。ネクロスのローブは砂で出来た城が崩れるように、バラバラになって地面に落ちてしまった。もはやローブというより、布切れの山だ。
「そ、そんなあああああああああああああああ!?」
さて、タナトスは破壊した。後は――奴を倒すだけだ。
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