第2話 作戦決行

よし!


行くぞ!


カラン コロン


扉を開けると、店員さんが


「いらっしゃいませ~」と


如何にもという声と共に寄ってきた。


「何名様ですか?」


「ひとりです。」


「では、こちらへどうぞ。」とガラス越しのカウンターの前に通された。


ガラスの外には、歩道やビルが並んでいる。


おぉ、俺できるじゃん!


よし!


後は、頼んで食べたら、任務終了だ!


って、ここやけに見られるな~


外からまる見えじゃん。


まっいっか。


頼もう。


「すみません。」


「ご注文ですか?」


「はい、ハンバーグランチをお願いします。」


「すみません。」


「現在、ハンバーグランチは無くなって、今は夜の部でのご提供になったんですよ。」


「そうなんですか、、、」


「今のおすすめは、グラタンなんですがどうですか?」


「こんな暑い時にグラタンですか?」


「そうなんです!」


「この暑い時にこそおすすめなんです。」


「じゃ、それお願いします。」


「ありがとうございます。」


というか、この暑い時にグラタンがおすすめって


どんだけ自信あるんだよ。


でも、まぁいいか、頼めたし。


こんな店にひとりで入ると、なんか大人になったみたいだな。


って、こんなおっさんが、ひとりで入れない方が変か。。。


「お待たせいたしました。」


「グラタンになります。」


「ありがとう。」


おぉ~美味そうだ。


「いただきます。」


熱々のグラタンを、ハフハフしながら頬張る。


うん。暑いけど美味い。


これは、皆に教えてあげよう。


夢中で食べ続ける。


自然に汗も出てきて


気がつけば汗まみれだ。


そして外からの視線に気がつき目が合う。


愛想笑いしか出来ない。


アハハ。。。


確かに、この暑い季節におっさんが


グラタンにがっついているのは変に見えるか。。


でも、案外気にならないもんだな。


思ったより余裕じゃん!


ひとり飯!


おひとりさまなんかドンとこいだ。


よし、調子にのってデザートも頼んでやろう。


「すみません。」


「はい。」


「このアイスがのってるパンケーキください。」


「あっ、はい。」


「ありがとうございます。」


「アイスはバニラで宜しいでしょうか?」


「はい。」


この美味いグラタンで火照った身体をアイスで涼めて帰るってのも良いだろう。


なんたって俺は、初体験を終わらせたんだ。


これは、祝いだ。


アイスとパンケーキのハーモニーを楽しみ。


「そろそろ帰るか。」


颯爽とレジに向かう。


「お願いします。」


「ありがとうございました。」


「ごちそうさま~」


カランコロン


途端にスマホが鳴り響く。


「はい。」


「おい!お前いつまで昼飯食っている。」


「えっ!すみません。」


「すぐ戻りま~す。」


END

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

完璧主義者の初体験 shin @shin_cocotasu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ