確認

「んで、くりぃむちゃんの能力ギフトは?」

ワンコが睨むと、飴村は意地悪くにやつきながら謝った。

「見たでしょう。私は『死を選ぶ能力』。」

「選ぶ?」

飴村は首を傾げた。田村はポンと手をうつ。

「なるほど、情報だけじゃよくわからなかったんですが………。もしかして、自分で自分の死に方、死ぬ時を選べるんですか?」

ワンコは静かに頭を縦にふった。

「見せましょうか?」

「やめてください!!」

慌てて止める梓を見て、沙弥は悟った。

「アズサくん、なでなでしてやろう。」

「あーんずるーい!沙弥さま!わたしもー!」

梓は顔を赤くして止めた。

「話が長引いちゃいます!あ、後でにしてください!……それで…ワンコさんの能力ギフト代償リスクはなんでしょうか?」

「無い。

ただ、指定しないと死ねないし、治るのにまあまあ時間がかかるし、致命傷しか治せないし、致命傷は死ぬほど痛いです。」

「充分リスクでは……。」

純粋な梓の感想に、ワンコは成る程と納得した。

「ちなみに、田村さんの貰った情報はなんだったんですか?」

ワンコが聞くと、田村は苦笑いしながら答えた。

「『不死と死』、代償リスクが『ありのままの苦痛』です。」

確かにわかりにくい、とワンコはメモを取った。

沙弥もメモを取りたいと筆記具をワンコから借りて情報を整理した。



少し落ち着くと、飴村は下唇を噛んで震え始めた。

沙弥のの話を思い出していたのだ。

『加賀沙弥』……旧姓ということは……。

「沙弥さまの、前の世界での夫が、加賀っていうのね。」

「飴村。今はそっちの情報の整理は優先しなくて良い。」

沙弥は重い声で制止した。

「首謀者の『とりで』をどう見つけるか、そちらを考えよう。」

「はい……。」

飴村はしゅんと縮こまった。

「待ってください。」

梓が声をあげた。

「沙弥さん、怪我は本当に治ったんですか?骨が折れたと聞きました。」

「あ、ああ。この通りだ。」

戸惑いながら沙弥が片足ずつトントンと動かして見せた。

「えっと。田村さん?その回復の力ってずっと効くんですか?」

自分より遥かに小さな梓からの真っ直ぐな問いに、田村はビクつきながら答える。

「は、はい!

崎田さきたの能力は他人を回復をさせることで、回復した後に何かある事は無いです。」

景樹は下唇に指の背をあて、少し考えた。

代償リスクをもう一度詳しく教えてくれ。」

「自分を治せない事と、患者が治療された怪我の大きさに応じて長く寝てしまう事です。」

田村の返答を聞いた後、梓は「失礼」と沙弥に近づいた。

片足ずつ触るが何も問題は無さそうだ。

飴村が梓の頭を叩いた。

「あいた!」

「沙弥さまの足を!!足を!!わたしも触りたい!」

興奮する飴村に、沙弥は呆れながら小さく手招きをした。

「落ち着け飴村。頭を撫でてやる。」

「ありがとうございます!!!」


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