第16話

ついにオープン日

私は仕事だったので

終わって3人を迎えに行ってから

レンのお店にと思って花を買いに行った

3000円ほどのささやかなお祝いのお花だったが

子供たちの名前をかいてもらって

みんなで渡しに行った

夫のことだとは思えないくらい

親戚のお祝いを持っていくような気分だったが

少しでも喜んでくれるといいなと思ってのことだった


レンは家族に気を使って喜ぶような人ではない

なので反応も薄かったが

頑張っているお父さんに渡しに行けたこと

自分たちのお父さんのお店なことが

子供たちは嬉しそうで自慢なのだと思う


それは今も変わらない

長男はお父さんのお店って誇らしげだ

そう思ってくれている子供たちに

もう少し優しくしてくれたらいいのになと思うけど…


バイトが整わないままオープンしたので

バイトが誰もいない日もあって

私は仕事が終わったあと

子供たちを連れて

レンのお店を手伝うことも何回かあった

慣れない仕事で

さらに3人をみながらの私は

とても大変だった


18時まで働いて

18時半頃から22時頃まで

レンの店を手伝う

その間に子供たちにはご飯を食べさせないといけない

帰ったら1人でお風呂にいれて

片付けをし寝かさないといけない


レンのお店を手伝う間

本当は泣きそうになることが多かった

ポンコツで何もできない自分が

ゴミみたいに感じていたからだ

レンもオープン間も無いので

気が張っていたし

相手が嫁なこともあり

優しいわけでもなかった


帰るときには

ありがとう

と言ってくれていた

私はそんな当たり前のありがとうが

とても嬉しかった

レンにお礼を言われることなんて

ほとんどなかったから

そんなささいなことが

実は私の中では支えになった


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