第5話

何という名前の薬かは忘れたが

副交感神経の働きを強めるクスリを

私は処方されていた

人が沢山いたり、電車にのると

パニックを起こすからだ

電気や光も怖くなり

テレビの音も怖い

そんな中無駄に責任感が強く

職場に毎日むかっては倒れていた

本当に迷惑だったと思う

休んでくれた方がいいと皆思っていただろう


私はそんな自分が嫌で仕方なかった

クスリを飲んでいる間は

ぼーっとして何かよく覚えていなかった

夜も怖くて寝れないので

睡眠薬をのんでいた

死んだように意識を失って寝る日々……


安心感が欲しくて

レンに頼りたかった

本当に辛かったから

ただただ大丈夫だよって

傍にいてほしかった


レンにはそんな私の状態を知って欲しくて

助けて欲しくて

話をしたと思うが

そんなに心配はしてくれず

仕事辞めろよ!

しか言われなかったと思う


レンに夜中でも会いたくて連絡するが

私を優先してはくれなかったし

そんな弱い私が

彼はうっとうしくてしょうがなかった


正直、めんどくさい女だったと思う


でもその当時

辛くて毎日どうしたら普通に生きていけるか

分からなくなっていた私は

レンの態度も辛かった


真っ暗なレンの部屋で

レンを待つようなこともした

レンが帰ってくるまで

電気をつけることもテレビをつけることもできないし

寝ることもできない

怖くて怖くて

何が怖いか分からないけど怖くて仕方ない


レンが帰ってくると

何もなかったかのように接して

抱きしめてくれた

私にはそれが優しくてしょうがなく感じた


しょうもない女だ

チョロすぎる



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